CompassPoint (コンパスポイント) ~若手社会人の情熱の魔法瓶~

What we do 活動内容

CP×寿

CP16ワークショップの模様


1.プロジェクトの背景

プロジェクトが始まったきっかけは、2009年8月、日本三大ドヤ街に数えられる寿町で「コトづくり」に取り組む合同会社コトラボの代表岡部友彦さんを迎えて開催したCP16。 

町の人口(約6,500人)の約9割が単身男性で、約8割が生活保護を受給。加えて人口の約半数が60歳以上の超高齢化社会。不景気の影響で増加傾向にある生活保護受給者が、今も流れ込んできている。そんな寿町の「再価値化」と、「価値の可視化」を、「モノ」ではなく、「コミュニティ」、「コミュニケーション」、「価値観」などから成る「コト」を基点に実現していくのが岡部さんの使命です。岡部さんはホステル事業を中心にして寿の人の流れをデザインしようとされています。 

CP16では、ワークショップに加えてフィールドワークを取り入れました。岡部さんから講義を頂いた後、私達は実際に寿町を訪れ、自分たちの目で見た町の現状を踏まえて、「コトづくり」の発展の可能性についてそれぞれがアイディアを出し合い議論しました。 

そしてワークショップから数週間後の8月某日、CPが本格的にコトラボをサポートしていくことを決意し、プロジェクトが始動しました。このプロジェクトの原動力となっているのは、このとき感じた寿町の町としての魅力と、寿町での「コトづくり」の面白さ、可能性を「カタチにしたい」という想いです。

CP16の様子


2.プロジェクトの概要

プロジェクトのミッション:
「寿町のリソースを活用しつつ、外から人を呼び込んで、寿町とその周辺に新しい人の流れとつながりをつくること」 

このミッションは、CP16で出し合ったアイディアを出発点に、CPメンバー間およびコトラボとのMTG、「さなぎ達」(寿町で2001年から活動するNPO法人)への訪問を重ねながらその根拠となる価値観から時間をかけて確認し合い決定しました。 

CP16でのアイデア


ミッション達成のためのタスクフォース:
プロジェクトの「社会性」と、「収益性」・「継続性」の維持を両立させる、という視点から以下の3つのタスクフォースを編成しました。 

①コモンスペース「コンパスポイント」(仮)の設立(CP×コトラボ×慶応大学): 

寿町周辺で不動産物件を賃貸し、町のコモンスペースを設立。このスペースを使って、町とその周辺のリソースに付加価値を付け「サービス」として提供することで、新しい人の流れをデザインすることを目指します。たとえばコンカツポイント、コンダテ(献立)ポイント・・・などアイディアはいっぱいです! 

また、このスペースの活用にあたっては慶応大学とのコラボレーションも予定されています。同大学では、来年度より2年間、文部科学省の助成金を受けて「慶応義塾『語力」開発モデル提示と実施」というテーマで、寿町を舞台に授業を展開することを決定しています。この授業は学生を現場に送り込み、外への発信、行動までつなげることを目指す新規性のある取り組みで、CPでは現在大学側関係者の方々と、具体的なコラボレーションの形について話し合いを開始しています。 

②コトラボのホステル事業の活性化(CP×コトラボ): 

ウェブを活用したPR、およびゲストルームに「プラスαの付加価値」を加えること(例えば、アーティスト達に部屋の内装コンペをしてもらうなど!)などにより、コトラボが運営するホステル事業の集客率/話題性アップを目指します。 

③オーラルヒストリーの収集と発信: 

寿町を、そこに住む人1人1人の歴史を含めて外の世界に発信し、町の認知度アップ、さらには町に対する認識の転換を目指します。

CP16ワークショップの模様


3.活動の様子

平均すると月2~3回程度、平日の夜または休日の時間を利用してメンバー間および関係団体(コトラボ、慶応大学)とのMTGを重ね、より具体的なタスクへの落とし込みを行っています。 

また、これらのMTGと平行して,メンバーがそれぞれ寿町を訪れ,「さなぎの家」(NPO「さなぎ達」の提供している、おじさん達のなごみの場)を中心にして町の人たちとの交流を図っています。ここから次第に、オーラルヒストリーの聞き取りへと発展していくことを狙っています。

CP16集合写真


4.現時点での成果

今はタスクの明確化とプランニングの段階ですが、12月中旬にはコモンスペースの内装デザイン・提供コンテンツを相談していきます!

2010/5/5 UPDATE! 
2月6日(土)CP×寿の企画第一弾として、Cookwalkerを開催しました。
(詳しくはこちら)

2010/8/20 UPDATE! 
7月27日(土)Cookwalkerがヨコハマ経済新聞に掲載されました!
(詳しくはこちら)

5.メンバーの声

マキ(メーカー勤務):

CP×寿:まきコトブキ。ドヤガイ。どちらも数か月前の私の生活とは無縁でした。しかし、いつでも出会いは突然です。勉強会をきっかけに、寿がもつ社会構造の縮図のような多面性が、私のアンテナにヒットしました。

私は、現在外資スポーツブランドで直営店のプランニング担当で、前職はコンサルでした。培った経験からいえばまだの"ひよっこ"で、スキルも限定的ですが、仕事の経験からプロジェクトマネジメントや、課題整理と解決提案、プレゼンテーションに関して、多少の経験を積んできました。このような経験は、寿PJで種々の課題とリソースを整理して、新しい形で提案するという作業に生かされています。

一方、寿PJで経験している、ある空間に対して、新しい要素や視点を取り込んで、付加価値を生み出す、という作業は本業にも還元されます。直営店ビジネスでは、意図された空間の構築にあたり、どんな要素が必要か、どんな相手をターゲットにどんなメッセージ発信をすればいいか、またはどんな役割を持つべきかを踏まえてのプランニングが不可欠です。

寿プロジェクトは、本業において既成概念にはない付加価値を提案するのに、今後もっと役立っていくと思っています。このようにコンパスポイント寿PJの経験がうまく広がり、知識が還元されるというサイクルを今後もうまく生かしつつ、世界にインパクトを与えていきたいです!


ヨモギ(商社勤務):

問題が深刻で根深く解決に多くの人の力を要するからこそ、「善意」や「問題意識」にダイレクトに訴えるのではなくて五感で感じる純粋な「欲求」を刺激することで人を動かし、その結果として社会貢献が実現するような仕組みをつくる。CP12をきっかけに、そんな考え方と仕組み作りに興味を抱いていました。 

高齢者の割合、生活保護受給者の割合、単身男性の割合、孤独死の件数と、数字でみるだけでも寿町がおかれている現実の厳しさは圧倒的です。最低限の医衣食住を提供しようと活動するNPOに支えられながら淡々と日々を過ごす町の光景を目の当たりにすると、その厳しさはよりリアルに迫ってきます。 

そんな寿町に対するコトラボの「人の流れをデザインするコトづくり」というアプローチにCP12に、対するのと共通した興味を感じてプロジェクトに参加しました。足を運んで感じた町の人への想いを大切にしながら、一人でも多くの人に振り向いてもらえる「コト」づくりへ昇華させるべく、問題意識を磨き続けていきたいと思います。 

スワキ(人材系企業勤務):

suwaki学生時代に想いをもってNGOやNPOで活動していながら、就職してからなかなかその志や想いを現実化できずにいました。普段は営業として仕事をしていて、NGOやNPOに対して直に役に立てる技術はないと思っていた私に、チャンスをくれたのがこの寿町でのプロジェクトです。

決められた枠の中で動くのではなく、自らが創造していく。0からアイディアを模索し、少しずつ企画を前に進めていくこのプロジェクトに関わっていることが、本職の営業の仕事でも活かされています。

一緒にプロジェクトを進行するメンバーには様々なバックグラウンドをもつ人がいて、自分に新たな視点与えてくれます。また、私達の0からのプロジェクト企画に賛同してくださるコトラボ合同会社の代表岡部さんに関わることで、より社会起業家を身近に感じることができました。プロジェクトはまだまだこれからですが、普段の仕事+@の活動をすることで自分自身を高めていけて嬉しいです。


おまけん(法曹):

オマケン寿には僕たちが見ないようにしてきたものがたくさんあります。それは僕たちの社会の負の部分であり、同時にツルツルの街からは得られない肌触りです。

寿を訪れると自分が試されるように感じるのは、僕が残念ながら狭い世界でいきてきたからでしょう。ここは、忘れられてしまう町のモデルです。だからこそ、町の再価値化のモデルになる素質があると信じています。

このプロジェクトを始動させてみて、様々な業界の社会人がひとつの物事に向けて知恵を出し合うダイナミックさにとても刺激を受けています。ここでいい成果を出すために自分の業界で修行する。それもひとつの人生の楽しみです。

CP×寿のメンバー

イイトモ (IT/通信)
しゅうまい (自動車)
ちえ (自動車)
おまけん (法曹)
ヨモギ (商社)
スワキ (人材)
トチオ (不動産)
マキ (メーカー)
マリ (メーカー)
ふー (証券)

CP×寿メンバー


文章提供: ヨモギ