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塩釜レポート

海の標識で養殖業を守る (2/2)

養殖業の安全に欠かすことのできない標識

 震災前、塩釜漁協では養殖施設の範囲を示す標識を海に浮かべていた。近海を航行する船が誤って養殖施設の中に入り、破壊してしまうことを防ぐためだ。しかし震災の津波は、船の安全航行を促す標識も流し去ってしまった。
 そこで塩釜漁協では、新たに標識を設置することにした。
 標識の設置方法は、まず海底に打ち込んだ碇と海面に浮かぶブイをロープで固定する。そしてブイに巻きつけた竹の先端に、電子発光する機器を取り付けることで完成する。キリングループの「復興応援 キリン絆プロジェクト」では、標識に必要な部材のうち、碇・ロープ・ブイ・竹の費用を支援している。塩釜漁協は少しでも早く、そして1つでも多くの標識を設置できるよう、まずは電子発光する機器を使わず、黄色いブイを目印とした標識の設置を始めている。

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(左)キリングループの支援により設置された標識(黄色いブイ)。周囲に見える細長い棒は、ワカメとコンブの養殖に使われる竹棒。養殖が最盛期を迎えると、竹棒が乱立するため、船はどこを通ればいいかわからなくなるという
(右)ピンクのラインで示されているのが標識の設置場所。周囲には養殖施設を示す長方形の枠がびっしりと並んでいる。船はピンクのラインの内側を航行することになる

実は宮城県は東北6県の中で、釣りなどに使われるレジャーボートの登録台数がもっとも多い県として知られている。中でも、塩釜エリアにはレジャーボートが特に多い。松島湾周辺ではハゼ・アイナメ・カレイなどが釣れるし、松島湾を越えて太平洋まで出れば、カジキマグロを釣り上げることもできる。漁場として恵まれていることもあり、震災前の塩釜湾や松島湾には、釣り愛好家が運転するレジャーボートが数多く行き交っていた。

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塩釜漁協前の港を出ると、すぐに松島湾の島々が近づいてくる

津波で多くのレジャーボートが流されたこともあり、震災後、近海を航行する船の数は激減した。しかし震災から1年が過ぎ、レジャーボートで海に出る人も増えてきたという。
こうした状況にもかかわらず、海の標識がないままでは、養殖施設の危険は増すばかりだ。
 「万一、レジャーボートが養殖施設に入ってしまったら、施設も壊れてしまいますし、乗組員にも命の危険が及びます。そうした事態を避けるためにも、標識の設置は欠かせないのです」
 鈴木組合長は標識の必要性をそう説明してくれた。
 標識はレジャーボートが養殖施設だけでなく、海の浅い場所も避けることができるように設置される。塩釜漁協の周辺は遠浅の海が続いているため、一歩間違えるとレジャーボートでも座礁してしまう危険があるためだ。

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(左)黄色いブイの間を通ることで、レジャーボートは安全に航行することができる
(右)塩釜漁協の周辺の海では、立って歩けるほどの浅い場所もある

 養殖ワカメのさらなる収穫と、コンブに加えてカキやノリの養殖を復活させるためにも、そして海全体の秩序と安全を守るためにも、キリングループが支援する標識の活躍が期待される。

写真提供/塩釜漁業協同組合取材協力/有限会社パワーボール、写真撮影/和田剛

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