活動について
各地域での活動
活動レポート
- 地元への深い愛情が人々を「絆」で結ぶ
- 郷土料理の商品化で食文化をつなぎ地元に誇りを取り戻す
- 人々の想いが新たなブランドを創り出す
- 被災した工場が被災地を応援するという取り組み
- 鯉ブランド復興にオール郡山で取り組む
- 宮城県の食材のファンを作る試み
いわき市水産物地域ブランド化推進委員会贈呈式レポート (2/2)
「常磐もの」を首都圏、そして全国へ
贈呈式ではまず、キリン株式会社CSV推進部絆づくり推進室の野田哲也・室長から、贈呈者挨拶が行われた。
会場となったいわき市庁舎の会議室には、いわき市長のほか、漁業や水産加工業の団体の代表者をはじめとする、水産関係の主要メンバーが参席。読売新聞、毎日新聞、河北新報、NHK、福島テレビ、ラジオ福島などメディア各社も取材に訪れた。
贈呈式には地元メディアも含め、多くのメディアが参加していた
「キリン絆プロジェクトは東日本大震災の復興支援として、2011年からの3年間で60億円を支援してきました。福島県の農業支援では、農業機具などに1億5千万円、ブランディングや販路拡大などに2億7千万円の支援をさせて頂きました。水産業支援としては、相馬双葉漁業協同組合に対し、青のり養殖の復旧支援として9500万円を助成しています。福島県は宮城県や岩手県とは震災被害の事情が大きく異なり、大変困難な状況にあります。そんな中で行われる今回の事業は、福島県でソフト事業の支援を続けるキリン絆プロジェクトにとっても、大変嬉しい限りです。現在、日本各地で地方創生に向けて産官学民などが連携した取り組みを続けていますが、キリングループとしても産業界の一員として、できる限りの支援をしていきたいと考えています」
厳しい状況の中でのプロジェクト実施を称える野田・室長
また、日本財団の海洋グループで上席チームリーダーを務める、荻上健太郎からも贈呈者挨拶が行われた。日本財団はキリングループが拠出した寄付金で基金を創設し、支援金の助成を行うことで被災地の水産業支援をサポートしている。
「いわき市水産物地域ブランド化推進委員会が実施する今回のプロジェクトは、福島県の水産業の未来を担うものだと思います。まさに今、始めなくてはならない事業だと言えるでしょう。その第一歩をご一緒できることを嬉しく思います。『常磐もの』をブランド化するという今回のプロジェクトを通じて、水産業に携わる皆さんが未来に希望を感じられるようになることを願っています」
水産業者が未来に希望を感じられる事業になることを期待する荻上・上席チームリーダー
続いて、キリン株式会社CSV推進部絆づくり推進室の古賀朗より、贈呈内容の説明が行われた。今回、いわき市水産物地域ブランド化推進委員会に助成される1500万円の支援金は、「常磐もの」のブランド化やPRのために行われる、いわき市や首都圏でのブランディング活動・情報発信・販促活動などに活用される。
贈呈内容の説明が終わると、キリンビールマーケティング株式会社の福島支社で営業部長を務める橋本岩男と日本財団の荻上・上席チームリーダーから、いわき市水産物地域ブランド化推進委員会の矢吹正一・委員長に贈呈目録、また、清水敏男・いわき市長に「復興応援 キリン絆プロジェクト」水産業支援助成事業のパネルが贈呈された。
目録とパネルの授受を行った、
(左から)橋本・営業部長、矢吹・委員長、清水・いわき市長、荻上・上席チームリーダー
「今回のご支援に厚く御礼申し上げます。震災から4年半が経ちましたが、原発事故により沿岸漁業では操業自粛を余儀なくされ、沖合漁業では震災前に比べ取引価格が下落するなど、大きな影響を受けています。厳しい状況はまだ続いていますが、頂いたご支援を最大限に活用し、いわき市が一丸となって『常磐もの』のブランド化を実現させることで、市の水産業の復興を加速させていきたいと思います」
目録を受け取った矢吹委員長は、プロジェクトを通じていわき市の水産業の復興を加速させることに意欲を見せた。
水産業の復興を加速させることに意欲を見せる矢吹・委員長
贈呈式の終了後には、キリン絆プロジェクトによる1500万円の支援金の活用方法などについて、メディアからも質問が行われた。
いわき市水産物地域ブランド化推進委員会では今後、①すでに完成している「常磐もの」のロゴマークを掲載したのぼりなど販促物の制作、②上野駅から品川駅まで延びた常磐線(上野東京ライン)の都心沿線での「常磐もの」のPR活動、③物産展などへの出展、④いわき市内の流通店舗や飲食店への水産物の販売など、4つの事業を中心に進めていく予定だ。
この4つの事業に、いわき市が風評払拭のために実施している事業を加え、全体で「常磐もの」のブランド化を推進していく考えだという。
贈呈式の会場には完成したのぼりも飾られていた
「常磐もの」をPRしながら、いわき市民だけでなく首都圏の消費者にも水産物の販売を強化。そして最終的には、「常磐もの」のブランドを定着させ、風評払拭と信頼回復を実現することで、いわき市の水産物の売り上げを、震災前の水準にまで戻すことを目指している。
「魚のプロ」たちの間では有名でも、一般には広く知られていなかった「常磐もの」という名称。今回のプロジェクトを機に、いわき市の水産物と水産業者たちが「常磐もの」としてブランド化され、その名が全国に轟くようになることを期待したい。
写真提供/いわき市役所
取材協力/有限会社パワーボール、写真撮影/和田剛