活動について
各地域での活動
活動レポート
- 地元への深い愛情が人々を「絆」で結ぶ
- 郷土料理の商品化で食文化をつなぎ地元に誇りを取り戻す
- 人々の想いが新たなブランドを創り出す
- 被災した工場が被災地を応援するという取り組み
- 鯉ブランド復興にオール郡山で取り組む
- 宮城県の食材のファンを作る試み
「復興応援 宮城の元気と笑顔 情報発信 気仙沼エリア」お披露目会レポート (3/3)
「キリン絆プロジェクト」だからできた気仙沼商品の「競演」
囲み取材が終了すると、7団体が開発した商品の試食を兼ねた、懇親会が行われた。
試食会で提供された7団体の料理。
メカジキ、フカヒレ、サメ、サンマ、ホヤなどが主材料で、
気仙沼で水揚げされる魚介類の多彩ぶりがうかがえた
すべての料理が、仙台工場内に併設されている
レストラン「キリンビアポート仙台」で特別メニューとして提供される
冒頭、キリンビール株式会社で執行役員・東北統括本部長を務める伊藤博之から、乾杯の挨拶が行われた。
「気仙沼には多種多様な食材が揃っています。その多彩な水産物を活用して、気仙沼の皆さんが開発した商品を、これから仙台工場で販売し、工場内のレストランでは特別メニューとして提供していきます。一人でも多くの方が工場に来訪され、気仙沼の魅力を実感し、外部へ発信してくださることを願っています。また、本日から『一番搾り 熊本づくり』が発売となりました。この商品は1本の販売につき10円が、熊本の復興のために寄付されます。本日の試食会にもご用意しましたので、どうぞご賞味ください」
乾杯の挨拶を行う伊藤・東北統括本部長。
お披露目会では、キリングループの社員が気仙沼のハッピを着て会場を盛り上げた
乾杯が終わると、いよいよ試食の時間となった。参加者たちはテーブルに並べられた料理の数々を、キリングループの飲料と一緒に楽しんでいた。
メカジキとせりで食べる、気仙沼でも大人気の「メカせりしゃぶ」(左)は、試食会でもすぐに売り切れとなる人気ぶり。「フカ三昧!スープチャーハン」(中)は、サメ肉を使った団子とソテーが入っているのが特徴。味はもちろん、食感も楽しめる一品だ。「さんまのパエリア」(右)も、魚介の旨味がトマト風味のライスと調和して、味わい深かった
参加者からは「どの料理も本当においしい」「今まで食べたことのない新鮮な味」といった声が聞かれた
試食会の途中、7団体のメンバーに話を聞いてみた。異口同音に聞かれたのは、気仙沼市内でもこれだけ多様な商品を一堂に味わえる場所はない、ということだった。「キリン絆プロジェクト」の水産業支援を受けている団体同士とはいえ、互いの商品を味わう機会も滅多にないという。材料もコンセプトも異なる料理を一度に食べられるのは、「とても贅沢なこと」という声も聞かれた。このように気仙沼商品の素晴らしい「競演」が実現できたのも、「キリン絆プロジェクト」という復興支援のプラットフォームがあったからに他ならない。工場見学などで来る一般の来場者にも、ぜひ多様な料理を食べ比べてほしいものだ。
情報発信の期間中は、7団体が開発した商品も工場見学者向けショップで購入できる
そして懇親会の終盤には、キリンビールマーケティング株式会社の鈴木圭三・宮城支社長から中締めの挨拶も行われた。
「私は10月に宮城県に赴任したばかりですが、東北で働くのは初めてです。震災時は茨城県にいました。茨城県も少なからず被害を受けたわけですが、東北の惨状を目の当たりにしたときの衝撃を今でも覚えています。その後は、東北で何度かボランティアもさせて頂きました。その頃から比べると、被災地は復興に向けて徐々にではありますが、確実に前進しているように感じます。そんな被災地のひとつである宮城県に赴任することになり、使命感も覚えている次第です。これから仙台工場でしっかりと気仙沼エリアをアピールしていきますので、どうぞよろしくお願い致します」
宮城県での仕事に使命感を覚えていると話す鈴木・宮城支社長
鈴木・宮城支社長にとっては初めての活動となるが、過去に行われた「復興応援 宮城の元気と笑顔 情報発信」では、仙台工場を来訪した人たちの反応も良かったという。
「七ヶ浜エリアの展示をしていたときに、あるレストランのポスターを見て気に入ったお客さんが、その場でお店に電話して『これから行きます』と言って、仙台工場を後にされました。かなり驚きましたが、私たちの取り組みが、こんな形でダイレクトに被災地に効果をもたらすこともあるんだと、嬉しくもありましたね」
柴田・工場長は微笑みを浮かべながら、当時のエピソードを語ってくれた。他にも、来訪者へのアンケート調査を行うと、「展示を見てその地域の復興状況を初めて知った」「宮城にある工場として素晴らしい取り組みだと思う」などの声も聞かれたそうだ。
広報担当者によれば、仙台工場の昨年の来場者数は10万人を超え、今年はそれを上回る勢いだという。気仙沼エリアの情報発信は来年春まで。その期間、一人でも多くの人が仙台工場で気仙沼の復興状況を知り、「キリン絆プロジェクト」から生まれた数々の商品に触れ、おいしい料理を味わい、その魅力を思う存分、外部に情報発信してくれることを期待したい。
(注)第1次産業である農林水産業が、農林水産物の生産だけにとどまらず、それを原材料とした加工食品の製造・販売や観光農園のような地域資源を生かしたサービスなど、第2次産業や第3次産業にまで踏み込むこと。
取材協力/有限会社パワーボール