活動について
各地域での活動
活動レポート
- 地元への深い愛情が人々を「絆」で結ぶ
- 郷土料理の商品化で食文化をつなぎ地元に誇りを取り戻す
- 人々の想いが新たなブランドを創り出す
- 被災した工場が被災地を応援するという取り組み
- 鯉ブランド復興にオール郡山で取り組む
- 宮城県の食材のファンを作る試み
いわき市 水産業ブランド化推進4団体 贈呈式レポート (1/3)
原発事故と風評被害に苦しめられた水産業
2016年11月11日、福島県いわき市にある「小名浜魚市場」の会議室で、「復興応援 キリン絆プロジェクト」による水産業支援の贈呈式が行われた。
贈呈式の会場となった「小名浜魚市場」。震災前から老朽化が進んでいたが、2015年3月に改築された
会議室からは小名浜漁港が一望できる
今回、水産業支援を受けるのは、いわき市の生産者・加工業者・流通業者など約25の事業者で構成される4団体(いわき社中、いわきサンマリーナ研究所、いわき市水産物6次化推進協議会、いわき水産商品開発協議会)。それぞれの事業者は東日本大震災が起こる前から、市内で水産業に従事している。
いわき市沖の漁場は寒流と暖流が交わり、カツオやサンマをはじめ、ヒラメ、カレイなど多種多様な魚介類が水揚げされてきた。出荷される魚介類は「常磐もの」と呼ばれ、築地市場の仲買人など「魚のプロ」たちからも高い評価を受けてきた。
しかし震災により状況は一変。地震や津波に加え、原発事故の影響により水揚げそのものが困難となり、市内には海外からの輸入品が出回るようになる。試験操業(注1)で水揚げされる魚介類があっても、低価格の輸入品に対抗するのは困難だった。さらに追い打ちをかけたのが、原発事故がもたらした風評被害。震災から5年以上が経過した現在でも、震災前と同様の取引をすることが難しくなっている。
こうした状況を打破しようと、4団体は水産物のブランド化や6次産業化(注2)を通じた販路拡大に取り組むくことを決意。いわき市の魚である「メヒカリ」、伝統的な食文化である「干物」、水揚げ量の多い「サンマ」、そして「アンコウ」を使った郷土料理など、歴史が深く地域に根差した食材や料理を活用して、いわき市を代表する商品を生み出そうと切磋琢磨している。
贈呈式の会場に展示された、4団体が開発中の商品
「復興応援 キリン絆プロジェクト」を展開するキリングループでは、4団体が取り組むいわき市水産物のブランド化プロジェクトの趣旨に賛同。日本財団の協力のもと、ブランディング活動、販路開拓、情報発信などに対する支援として、総額4756万円を助成することを決定した。