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越喜来レポート

地域に眠る資源を活用して復興を果たす (3/3)

漁師料理が人々を固い絆で結ぶ

 2012年5月の設立以降、「漁師のおつまみ研究所」では社員である女性たちの声を反映しながら、地元食材を使った漁師料理を次々に生み出している。
 「タラの親子あんかけ」は、タラの身をから揚げにして、蒸したタラコをかける料理。お酒にも合うと評判だ。また、「ドンコのマリネ」は、エゾアイナメであるドンコを揚げて、野菜とあえる一品。ドンコは他にも、肝をたたいてなめろうのようにし、アルミホイルで焼く「ドンコの肝焼き」としても人気がある。

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ドンコのマリネ(左)とドンコの肝焼き(右) (写真提供/地域資源利活用推進協議会)

 できあがった料理は、CAS冷凍によりその場で急速冷凍し、出荷されていく。企業からの引き合いも多く、社員向けに数百食単位で料理を出荷することもあるという。
 また、2012年7月からは、テストマーケティングも兼ねて埼玉県志木市にある居酒屋「越喜来や」に、料理を継続的に提供している。すべての料理は冷凍状態で届くため、お店では電子レンジや湯煎で解凍すればよく、調理の必要はないのだ。
 実は居酒屋「越喜来や」がオープンしたのも2012年7月。東日本大震災の折、越喜来地区で行方不明になってしまった女子大生の母親の希望で開店した。女子大生は震災当時、越喜来地区にある北里大学三陸キャンパスに通っていた。震災後、母親が娘を探しに越喜来地区へ通ううちに、八木さんと出会った。八木さん自身、出身は静岡県だが大学時代を北里大学三陸キャンパスで過ごした。そして大学卒業後は、故郷へ戻らず、越喜来地区で魚介類の販売業を営んでいた。後輩である女子大生の悲しい出来事に、八木さんは捜索をはじめ、あらゆる面で母親の力になろうとした。そうして交流を重ねていくうちに、居酒屋「越喜来や」の話が生まれたのである。
 「越喜来やに来るお客さんの中には、産地に行きたいと希望する人が少なくありません。もし全国各地で越喜来地区の料理を食べた人たちが、現地に遊びに来ることができれば、より愛着が湧くと思いますし、それは更なる購買にもつながると思います」
 八木さんは越喜来地区の未来に、明るい展望を描いている。
 2013年1月に地域資源利活用推進協議会を設立したのも、ミサンガ作りから漁師料理へと続いた取り組みを、組織としてしっかりと支えていきたいという願いによる。
「浜の台所CASセンター 」ができるまで、「漁師のおつまみ研究所」の女性たちはプレハブの中で料理を作ることを余儀なくされていた。しかし最新の施設が完成したことで、衛生管理が改善したのはもちろんのこと、女性たちの間で「漁師のおつまみ研究所」は自分たちの事業なのだという当事者意識が更に強くなったという。また、観光対応型施設の「越喜来番屋」は、今後、来訪者が増えることで、「生産者の顔が見える」という八木さんたちの当初の目標を達成するための施設となり得る。

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「浜の台所CASセンター 」の中には、最新の調理器具が作業しやすいように配置されている(左) 観光対応型施設の「越喜来番屋」は、全国からの来訪者の受け入れ拠点となる(右)

 キリンビールの「復興応援 キリン絆プロジェクト」による今回の2つの施設への支援は、越喜来地区の人々の強い思いと一緒になって、必ずや地域の復興を成し遂げてくれるだろう。

写真提供/地域資源利活用推進協議会
取材協力/有限会社パワーボール、写真撮影/和田剛

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