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大船渡レポート

「食のまち」として復興を果たす (2/3)

観光未開発の地域に眠る可能性

 「三陸パートナーズ」の目的は、大船渡市を「食のまち」としてブランド化することにある。
 大船渡市の水産物に岩手県の山や里の食材を組み合わせ、新商品を開発。食材の調理方法や商品の提供の仕方にも工夫をこらし、その内容をレシピとしても提案する。また、商品パッケージのデザインも新たに考案する。こうした取り組みには、フレンチ業界の著名料理人や東北支援を続けるNPOなど、外部からの協力も得ることにした。

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「三陸パートナーズ」では大船渡市の水産物を活用した新商品の開発が進む。写真はスモークしたサーモンをきのこであえた一品(上)とホタテ貝をスモークした料理(下) (写真提供/協同組合「三陸パートナーズ」)

 「震災前、大船渡市は観光客を意識したまちづくりができていなかったと思います。食べ物はおいしいけれど、都市部からのアクセスも悪く、観光名所も少ない場所に人は来ないのではないか。大船渡市民の多くが、そう考えていました」
 及川社長によれば、こうした市民の考えは、震災を機に大きく変わったという。
 「ところが震災が起きて、外部からたくさんの人が支援のために大船渡に来てくださいました。そうした方たちと話をしているうちに、観光客を呼び込むために何かできるのではと思えるようになったのです。大船渡市は以前から観光開発はされていませんでしたが、未開発だからこそ、新たな可能性が眠っているとも考えられるわけです」
 そしてたどりついたひとつの答えが、「食のまち」として大船渡市を開発し、観光につなげるというものだった。「三陸パートナーズ」はその答えを具現化するための組織だと言える。
協同組合に参加している6社は、すべて水産加工会社なので、同業であると同時に競合関係にもある。震災前は、商品を競りにかける市場で出会えば、互いに商品開発や加工技術などの手の内を明かさないよう注意をしたし、一緒に何かやろうと企画をしても成功することはなかったという。そうした状況が、震災を機に一変したと及川社長は考えている。
 「想像を絶するような辛い経験をし、支援に来てくださった多くの人々のあたたかい心に触れるうちに、人としてのやさしさや協調性をより大事にするようになったと思います」

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震災を機に大船渡市の水産加工会社の考え方は大きく変わった

 今では各社が持つ独自の加工技術などの得意分野を教え合い、互いに支え合いながら新しい商品の開発に励んでいる。震災前は想像すらできなかった協力体制だ。
 食を通じて地域を盛り上げることが復興へとつながり、支援をしてくれた数多くの人々への恩返しにもなる。
 そんな思いを胸に、「三陸パートナーズ」のメンバーたちは活動を続けている。

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