活動について
各地域での活動
活動レポート
- 地元への深い愛情が人々を「絆」で結ぶ
- 郷土料理の商品化で食文化をつなぎ地元に誇りを取り戻す
- 人々の想いが新たなブランドを創り出す
- 被災した工場が被災地を応援するという取り組み
- 鯉ブランド復興にオール郡山で取り組む
- 宮城県の食材のファンを作る試み
早採りワカメのブランド化で復興を目指す (2/3)
2014年を復興元年に
2014年1月18日、重茂半島で「平成26年産 春いちばん出荷式」が行われた。この出荷式は、早採りワカメの生産と出荷を祝うもの。通常、ワカメは3月から4月にかけてもっとも多く収穫される。しかし、早採りワカメは毎年1月から2月のうちに新芽のワカメを刈り取る。保存用に塩蔵加工される通常のワカメと違い、早採りワカメは生のまま、しゃぶしゃぶにするのが美味だとされている。さっと湯あげして食べるため、ミネラルも豊富で栄養価が高い。重茂漁協ではこの早採りワカメを、「春いちばん」というブランドで販売している。
出荷式の会場となったのは、重茂漁協が運営する海洋冷食工場の敷地。広々とした会場には、出荷式を祝う来賓や地元の人々など、250人以上が詰めかけた。また、岩手めんこいテレビやテレビ岩手、岩手日報、毎日新聞などメディア各社も多数取材に訪れた。
出荷式を祝いに訪れたたくさんの人々。会場には色鮮やかな大漁旗が飾られていた
出荷式ではまず、重茂漁協の伊藤隆一組合長から主催者挨拶が行われた。
「未曾有の大震災からもうすぐ3年。この間、皆さんには大変な苦労をかけました。重茂漁協では、2014年を復興元年にしたいと考えています。苦労の日々はまだまだ続くと思いますが、組合員は一致団結して乗り越えて行きましょう。酷寒の海から早採りした重茂のワカメは、磯の香り、歯ごたえ、味、すべてが絶品です。春いちばんブランドは、重茂の復活に向けた第一歩になることでしょう」
伊藤組合長の覚悟を込めた言葉に、会場からは大きな拍手が沸き起こった。
主催者挨拶を行う伊藤組合長
続いて、来賓を代表して、生活クラブ連合会と沿岸広域振興局から祝辞が贈られた。生活クラブ連合会は30年以上前から、重茂の人々と交流を続けている。重茂で合成洗剤の追放運動が始まったのも、生活クラブとの交流があったからだ。震災前は重茂の肉厚ワカメを購入していたが、震災後はカンパを集めて重茂漁協に新船を寄贈した。今後は早採りワカメも購入していく予定だ。また、沿岸広域振興局は岩手県の行政機関として、三陸沿岸の産業が発展するよう後押ししている。漁港や道路の整備など、重茂半島の復興にも尽力している。
「春いちばんの出荷式、誠におめでとうございます。重茂の復興スピードは、実に早いと感じます。これも伊藤組合長をはじめとした、組合員の皆さんの団結によるものと思います。生活クラブでは今までも重茂の海産物を購入してきましたが、春いちばんを震災支援として位置づけ、35万人いる会員全員に販売していく予定です。重茂の復興が一日も早く実現するよう、これからも協力していきたいと思います」
生活クラブ連合会の渡辺孝之・常務理事は、祝いの言葉とともに、これからも重茂を全力で支えていく意気込みを語ってくれた。
沿岸広域振興局からは、水産部宮古水産振興センターの伊藤克宏・所長が祝辞を述べた。
「早採りワカメは、しなやかな食感と磯の風味が丸ごと味わえ、湯通しすると茶色から鮮やかな緑色になります。まさに味覚と視覚を一度に味わえるのです。でももともとは、地域限定で食べられる食材でした。それを春いちばんというネーミングでブランド化したことは、先見の明があると思います。キリングループや日本財団の後押しを受けていることも心強い限りです。売り上げが伸びるよう心から願っています」
相次ぐ祝いと期待の言葉に、会場にいる重茂の人々は大満足のようすだった。
祝辞を贈る渡辺常務理事(左)と伊藤所長(右)