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春いちばん出荷式レポート

早採りワカメのブランド化で復興を目指す (3/3)

情報発信力の強化が復興へのカギ

 来賓者からの祝辞が終わると、「復興応援 キリン絆プロジェクト」の贈呈式の時間となった。
 キリングループでは重茂漁協に対し、ホームページのリニューアルや商品カタログの制作にかかる費用として、2500万円を支援している。重茂漁協ではキリングループによる支援を活用しながら情報発信力を強化することで、早採りワカメをはじめとした重茂の海産物の認知度を高め、販売増につなげていく狙いだ。
 贈呈式ではまず、重茂漁協の後川良二・業務部次長から事業説明が行われた。後川次長は、大津波の被害により壊滅状態だったワカメやコンブの生産量が震災前の7割まで回復していること。ウニやアワビは漁獲量に制限を加えながら、生息状況を調査していること。震災直後は在庫不足により取引先に迷惑をかけたが、生活クラブをはじめとした取引先の理解と協力により、困難を乗り切れたこと。「復興応援 キリン絆プロジェクト」の支援により、情報発信力が増し、復興のカギとなる早採りワカメのブランド化に着手できたことなどが紹介された。

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重茂半島の現状を説明する後川次長

 事業説明に続いて、キリンビールマーケティング株式会社の吉田健一・岩手支社長から挨拶が行われた。
 「本日、春いちばんの出荷式を迎えられたこと、心よりお祝い申し上げます。重茂半島では20年以上前から、漁業の6次産業化(注1)を進められています。これは東北の6次産業化を支援している、キリン絆プロジェクトの趣旨とも合致するものです。今回の支援を活用して、春いちばんのブランドを強化し、ぜひとも販売を伸ばしてください。キリングループとしても、応援を続けていきたいと思います」

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吉田岩手支社長は、重茂半島への支援に対するキリングループの思いを語った


 また、日本財団の海野光行・常務理事も挨拶を述べた。日本財団はキリングループが拠出した寄付金で基金を創設し、支援金の助成を行うことで被災地の水産業支援をサポートしている。
 「お正月に重茂漁協のホームページからアワビとワカメを注文しました。すると翌日には届いたので大変驚いた次第です。味は文句なく美味でした。また、商品カタログには商品の紹介だけでなく、重茂の皆さんの自然を守る取り組みや料理のレシピも掲載されるなど、思いが詰まった内容になっていると思います。春いちばんというブランドが、重茂の皆さんに本当の意味での春を呼び込むきっかけになることを願っています」

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重茂半島の海産物にまつわる思い出を語る海野常務理事

 二人の熱のこもった挨拶に、重茂の人々も勇気づけられたに違いない。
 挨拶が終わると、吉田岩手支社長と海野常務理事から重茂漁協の伊藤組合長に、支援金2500万円の目録が贈呈された。

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(左から)目録の授受を行った吉田岩手支社長、伊藤組合長、海野常務理事


 目録を受け取った伊藤組合長は、「復興応援 キリン絆プロジェクト」の支援により、長年の悲願だった情報発信のための新しいホームページと商品カタログが完成したことに対し、感謝の言葉を述べた。そして復興に向けて、組合員が一致団結して頑張っていくことを約束してくれた。
 その後、朝に採れたばかりのワカメが重茂漁協と生活クラブのトラックに積み込まれ、会場の人々に見送られながら出荷されていった。出荷の際には、地元の子どもたちからトラックの運転手さんに花束も贈られた。そして出荷式の最後には、祝いの紅白餅と塩蔵ワカメなどの海藻商品が、来賓者から参加者に向けてまかれた。

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トラックに運び込まれる早採りワカメ「春いちばん」(左) 出荷のために朝早くから重茂漁協の女性たちが選定作業や箱詰めなどを行った(右)

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紅白餅や海藻商品をまく来賓者(左)と手を伸ばす参加者(右)子どもたちのためにお菓子も一緒にまかれた

 出荷式が終了すると、会場の人々には採れたてのワカメとコンブのしゃぶしゃぶが振る舞われた。早採りワカメは、ツルツルした表面の食感とシャキシャキした歯ごたえが、通常のワカメと全く違うとのこと。ツルツルした表面はミネラルや食物繊維が豊富な証拠で、しゃぶしゃぶをするとお鍋までツルツルになるのだと、重茂の人たちが教えてくれた。

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湯通しして鮮やかな緑色になった早採りワカメ(左)とおいしそうに食べる子どもたち(右)

寒空の下、多くの参加者に見守られて行われた「春いちばん」の出荷式。早採りワカメの新たな旅立ちは、重茂の復興に向けた確かな一歩を人々に感じさせたに違いない。


(注1)第1次産業である農林水産業が、農林水産物の生産だけにとどまらず、それを原材料とした加工食品の製造・販売や観光農園のような地域資源を生かしたサービスなど、第2次産業や第3次産業にまで踏み込むこと。

写真提供/重茂漁業協同組合
取材協力/有限会社パワーボール、写真撮影/和田剛

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