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宮古レポート 水産加工の未来を左右するプロジェクト (2/3)

産業振興と被災地復興のモデルに

 「水産加工ブランディングプロジェクト」は、水産加工を中心とした4つのグループによって実施されるが、それぞれのグループを構成する水産加工業者たちは、多くが旧知の仲だ。実はこうしたグループ編成にも、宮古市ならではの事情がある。
 「宮古市は小規模の水産加工業者が多いので、当初は、彼らをまとめて1つの大きなグループを作り、プロ ジェクトを実施することも考えました。でもそれだと実態に合わないのです。ふだんの彼らは、結果がすべての水産加工業の世界におけるライバル同士です。それならば、仲のいい水産加工業者同士でグループを組んだほうが、うまくいくと考えたわけです。また、複数のグループにして互いに競争意識を持たせたほうが、切磋琢磨するでしょうし、他の地域の大企業にも対抗できるのではと考えました」
 それぞれのグループは新商品を開発したあと、商品にロゴマークを付与することになっている。しかし佐藤部長によれば、このロゴマークも統一したものにはしない予定だという。どのグループのロゴマークがもっとも認知度を高められるのか。ここでも競争が行われるのだ。

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今後は各グループが開発した商品にロゴマークが付与されていく
(写真は「チーム漁火」が開発予定の「いかそうめん」とイクラ丼に使われるイクラのサンプル)

宮古市では今後、食産業を担当する専任の職員2名とコーディネーター1名が中心となり、宮古商工会議所などとも連携しながら、4つのグループに対して様々なサポートを実施していく。例えば、開発した商品をテストマーケティングしたいグループに対しては、首都圏で行われるトレードショーへの出店を支援するし、中国や台湾など海外へ販路を広げたいグループに対しては、独自のパイプを駆使して販売支援を行う予定だ。
 「新商品の開発にあたっては、大学の研究機関などとも連携していきます。まさに産・官・学が一体となったプロジェクトなのです。他にも、マーケティングや食品開発のアドバイザーにも協力していただく予定です。ここまでの取り組み方は、震災前からいろいろな関係団体と連携して地道に取り組んできた結果で、他の地域ではあまり例がないと思います」
 佐藤部長はこのように、今までの宮古市の取り組みを説明してくれた。
 事実、産・官・学が連携した宮古市の産業振興の取り組みは、「みやこ食品加工・販売研究会」が発足した2007年から行われており、国から産業振興のモデルとしても認められている。
 震災前から培ってきた手法を生かして、水産業の復活に挑む今回のプロジェクトは、今後、他の被災地域のモデルケースとなる可能性も秘めている。

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