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宮古レポート 水産加工の未来を左右するプロジェクト (3/3)

不揃いだからこそできること

水産加工を中心とした4つのグループが担う、「水産加工ブランディングプロジェクト」。メンバーたちはどのような思いでプロジェクトに臨んでいるのだろうか。
 「自己負担金が発生する行政の補助金と違い、キリン絆プロジェクトは全額を支援してくれるので、とてもありがたいです。お陰で安心して、思いきった商品開発にチャレンジできます。グループのメンバーは、今までにない新しい商品を作ることに、ワクワクしていますよ」
 そう語るのは、宮古市に水揚げされる四季折々の海産物を生かした商品開発を計画している、「八艘の会」の柳澤雅浩さんと古舘誠司さん。「八艘の会」では、グループに参加している8社の漁業者がそれぞれに持つ、得意分野の違う加工技術を存分に生かすため、商品開発の対象となる海産物をあえて限定していない。
四季を通じて水揚げされるものの中から、加工技術を発揮できそうな食材を随時選び、商品開発につなげていく予定だ。

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「八艘の会」の柳澤さん(左)と古舘さん(右)。
柳澤さんは主にメカブ商品、古舘さんはサケやサンマの商品の製造・販売を行っている

「八艘の会」の漁業者たちは、ほとんどが津波により会社の工場や自宅を流されている。被害の金額は大きい会社で数千万円にのぼるという。震災直後は、社員やパートを継続して雇えないため一時的に解雇したが、事業を再開しても、すでに他の仕事を見つけたなどの理由で戻って来ない人も多く、人材不足にも悩まされている。
 だからこそ、「復興応援 キリン絆プロジェクト」の支援をきっかけに、会社として大きな飛躍を遂げたいとの思いも強いようだ。
 「新商品を開発するにあたり、試作品をたくさん作ることになると思います。それは各社の加工技術の底上げにもつながります。いよいよプロジェクトが始動するので、楽しみでなりません」
 「八艘の会」の柳澤さんは、笑顔で今後の意気込みを語ってくれた。
 また、若手経営者4人で構成されている「チーム漁火」の鈴木良太さんも、「復興応援 キリン絆プロジェクト」の支援を受けた「水産加工ブランディングプロジェクト」に、大きな期待を寄せている一人だ。
 鈴木さんは父親が海産物の仲買業を営んでいたが、工業系の高校・大学と進学し、卒業後は飲食店で働くなど、水産業とは縁遠い道を歩んできた。
 「正直、長靴をはいて魚を扱う仕事は、カッコ悪いと思っていました。でも父親の仕事を手伝う形で会社に入り、いろんなことを知れば知るほど、この仕事にのめり込んでいきました」

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水産業に携わるまでの道のりを話す鈴木さんは、32歳。
今では父親の後継者として、代表取締役専務の肩書で忙しく日々を送っている

また、魚や水産業に対して人々が親しみを持てるよう、鈴木さんはブログで情報発信もしている。震災後、若いからこそ伝えられることがあるのではと気付いたことが、きっかけだった。
 「この仕事は朝が早いなど、きついことがたくさんあるのは事実です。でも同じくらい、面白かったり、魅力的な面も多い。それを伝えていければと思って」
 鈴木さんによれば、宮古市は他の地域に比べ、水産業に携わる若い人が多く、後継者問題の解消も進んでいるという。こうした若い人たちの力を活用し、水産業も地域も活性化させたい。それが鈴木さんたちの願いだ。
 「水産加工ブランディングプロジェクト」は、2015年3月までの期限付きのプロジェクトだが、佐藤部長によれば、終了後もグループとしての活動は続いていくという。会社の規模も扱う商品も、得意とする加工技術までも違う漁業者が集まり、実施される今回のプロジェクト。そんな不揃いなメンバーたちが、互いを刺激し、世間を驚かすような商品を次々と開発しながら、宮古市全体の復興に貢献してくれることを期待したい。

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宮古のみんなが一丸となって、プロジェクトの成功のために頑張ります!

取材協力/有限会社パワーボール、写真撮影/和田剛

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