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「みらい食の研究所」贈呈式レポート

「みらい食の研究所」贈呈式レポート 心と体にしみ入る商品を全国の食卓へ (2/3)


商品開発のヒントになった震災時の経験

贈呈式に先立ち、「みらい食の研究所」による事業方針の発表が行われた。
 会場となったのは、「みらい食の研究所」の構成メンバーでもある斉吉商店の2階「ばっぱの台所」。ふだんはここで海鮮丼や味噌汁などのお昼ご飯が食べられるほか、ワークショップなどのイベント会場としても活用されている。会場には「みらい食の研究所」のメンバーや来賓が参席したのに加え、朝日新聞、毎日新聞、テレビ朝日などメディア各社も取材に訪れた。

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会場となった「ばっぱの台所」は、アットホームであたたかい雰囲気が漂う

事業方針発表ではまず、「みらい食の研究所」の事務局を務める、斉吉商店専務取締役の斉藤和枝さんより事業の経過説明が行われた。
 「三陸地方には海や山の食材が豊富にあるにもかかわらず、原料や半製品として出荷することが多く、付加価値のついた商品は限られていました。そこで地元の食材を生かした商品を作ろうと、4社は商品開発のための勉強会を始めます。第1弾となる商品を考える中で、ヒントとなったのが震災時の経験でした。寒さに耐える避難所生活の中で提供された食べ物は、本当にありがたいものだと実感します。同時に、あたたかい物を食べることで安心感や幸福感も味わいました。その思いを反映すべく、「まで~に」ブランドとしてスープを開発することに決定したのです。私たちは口にする人の体だけでなく、心までもあったかくする商品づくりを目指しています」

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事業の経過説明を行う斉藤和枝さん

続いて、来賓を代表して糸井重里さんから挨拶が行われた。糸井さんは震災直後に、「ほぼ日刊イトイ新聞」で斉吉商店を取材したとことから縁が生まれ、その後も継続して「みらい食の研究所」に参加する各事業者の取り組みを応援している。
 「震災から3年という区切りの日に、参加できたことを嬉しく思います。震災に襲われたことは嬉しいことではないですが、せっかくだから何かしたい、という皆さんの気持ちに勇気をもらいました。市場を意識した商品づくりは、お客様に喜んでもらえるかが問われます。簡単な道のりではないですが、成功するまで見届けたいと思います」

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「みらい食の研究所」に参加する各事業者の取り組みを継続的に応援している糸井重里さん

また、主催者を代表して、「みらい食の研究所」の河野通洋・代表からも挨拶が行われた。
 「明日で震災から丸3年。これまでたくさんの方が支援の手を差し伸べてくださいました。本当にありがとうございます。みらい食の研究所は多種多様な会社が集まってできた団体です。もし震災がなかったら、こういう取り組みは難しかったかもしれません。危機のときだからこそ、信頼関係を持って乗り越えようという気持ちが、この取り組みを支えてきたのだと思います。これからも決して諦めることなく、プロジェクトを続けていくことをお約束いたします」

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主催者挨拶を行う河野代表

 その後、「みらい食の研究所」のメンバーによる事業方針の発表が行われた。
 石渡商店の石渡久師・専務取締役は、カキを使ったスープの商品化に対する意気込みを語った。
 「私たちの会社はフカヒレが専門ですが、地域の食材を生かして新しいことにチャレンジしようと、カキのスープを作ることにしました。震災以降、たくさんの人たちに支援をいただきました。ご支援を受けて再建した私たちの工場も、全国の皆さんのものだと感じています。今回の取り組みを通じて、地元や全国の皆さんに少しでも恩返しできれば嬉しいです」

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スープづくりへの意気込みを語る石渡・専務取締役

オノデラコーポレーションの小野寺靖忠・専務取締役は、4社が協同で商品開発に取り組むことの強みを力説してくれた。
 「船を持ち上げるイベントの際、5人で持ち上がらなかったものが10人だと成功しました。4社が集まったみらい食の研究所も1社ではできないことを実現してほしいですし、そうなる可能性を十分に感じています。互いに腹を割って言いたいことを言い合い、各社が持つ技術を磨き合いながら、多くの人に愛される商品を世に出せるよう頑張りたいと思います」

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4社協同の強みを力説する小野・専務取締役

 斉吉商店の斉藤純夫・代表取締役社長は、「みらい食の研究所」の取り組みが歴史的なものになると感じている。
 「気仙沼や陸前高田は競争文化の町です。その競争が原動力となり、町として発展してきました。そうした中、複数の会社が横並びで協力するというのは、町の歴史にもなかったことかもしれません。これから4社で力を合わせて、心をひとつにして、心にしみ入るような商品を作っていければと思います」

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「みらい食の研究所」の歴史的な意義について語る斉藤・代表取締役社長

 最後に、「みらい食の研究所」の代表でもある、八木澤商店の河野通洋・代表取締役からも発表が行われた。
 「スープづくりはまったくの未経験だったので、八木澤商店にとっては未知の世界でした。4社が集まる定例会議で意見を出し合い、会議が終われば会社に帰ってスープを作るという日々が続きました。今までに何種類のレシピを書いたかわからないほど、多くの試作品を作りました。互いに腹を割って話ができたことで、会社としても変化し、成長することができました。メンバーの皆さんにはとても感謝しています」
 そして事業方針発表の最後には、メディアとの質疑応答も行われた。
 「今までの活動の中で最も困難だったことは何か」
 「これからの活動にはどのような壁があると思うか」
 「その壁をどう乗り越えていくつもりか」
 メディアからの様々な質問に対し、「みらい食の研究所」メンバーたちは、「本当の苦労は商品がお客様に届くようになってから訪れると思います」など、ひとつひとつ丁寧に回答していった。


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