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重茂レポート

水産業の復活を目指す日本有数の漁業地 (2/3)

組合員のためにできる限りの支援を

 重茂漁協が組合員にまず提案したのが、漁船の共同利用だった。残った船に加え、重茂漁協が買い集めた中古船を、組合員が共同で使うという内容だ。組合員はこの提案を拍手で受け入れた。
 震災により沿岸各地のワカメ養殖が大打撃を受け、ほとんど出荷できない状況が続く中、天然ワカメも育つ重茂半島では、震災から2ヶ月後の2011年5月に収穫をすることができた。このとき、収穫量を出漁数で均等に割ることを提案したのも重茂漁協だった。

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(左)天然ワカメの獲れる重茂半島では、震災の年にもワカメの収穫を実現することができた(写真提供/重茂漁業協同組合)
(右)収穫されたワカメは、多くの人々の手によって選別されていく(写真提供/重茂漁業協同組合)

 そして、昨年11月からのアワビ漁では、1つの船に2~3名が乗り、獲るアワビの数も等しく制限することで、公平性を担保した。 一方、今年の春に行われた養殖ワカメの収穫の際は、漁船は共同で使用するものの、収穫量は各組合員に任せることにした。震災から1年が経ったのを機に、震災前と同じ競争環境に戻すことで、組合員のやる気も増すと考えたからだ。
 「震災が起きてからというもの、伊藤組合長は職員たちに、『組合員のために働け!』と言い続けています」
 重茂漁協で生産販売課長を務める北田敦夫さんは、伊藤組合長の組合員に対する思いをそう代弁する。震災による直接の被害をまぬがれた重茂漁協。だからこそ、組合員のためにできる限りのことをしたいという思いが、伊藤組合長にはあるのだろう。

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伊藤組合長の思いを代弁する北田さん自身も、激務を続けながら組合員を支えている

 他にも、震災前は養殖施設の費用をすべて組合員が自己負担していたが、震災後は国の補助事業や借入金を活用して支援するようにした。そして組合員が早期に漁業再開ができるように、補助事業を活用して漁業関連施設の整備も図ることにした。 今年の2月に建設された、ワカメを塩蔵加工するための施設もそのひとつ。沿岸部にあった加工施設は津波ですべて流されてしまったが、重茂漁協が再建に乗り出した。
 また、収穫した海産物を現金化するまで、組合員の収入が途絶えることを避けるため、立て替え払いの形で組合員に現金も支給している。 こうした数々の支援を行った結果、例年1億円だった重茂漁協の借入枠は、今年30億円を計画するまでになった。借入枠の大幅な増大という事実からも、親身になって組合員を支援しようという姿勢が伝わってくる。

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