活動について
各地域での活動
活動レポート
- 地元への深い愛情が人々を「絆」で結ぶ
- 郷土料理の商品化で食文化をつなぎ地元に誇りを取り戻す
- 人々の想いが新たなブランドを創り出す
- 被災した工場が被災地を応援するという取り組み
- 鯉ブランド復興にオール郡山で取り組む
- 宮城県の食材のファンを作る試み
津波から海産物を守る大型保管庫 (1/2)
震災直後に殺到した海産物の保管依頼
2012年4月、盛岡市から南へ車で10分ほどの場所に、「盛岡新冷蔵冷凍施設」が誕生した。岩手県の沿岸部で水揚げされ、冷凍加工された海産物を保管し、全国各地へ出荷するための施設だ。近くには東北自動車道「盛岡南インター」があり、周辺には流通センターの建物が軒を連ねるなど、物流拠点として最適の場所に位置する。
施設の総工費5億5800万円のうち、9分の7は国や岩手県から補助金が出るが、残りの9分の2は運営を担う岩手県漁業協同組合連合会(以下、岩手県漁連)が負担しなければならない。キリングループの「復興応援 キリン絆プロジェクト」では、岩手県漁連が負担する金額の内、3800万円を支援している。
「震災直後、津波をまぬがれた沿岸部の海産物が殺到しました。加工業者によって運び込まれた海産物を少しでも助けようと、ふだんは使用しない保管庫の通路部分も使って保管しました」
岩手県漁連が運営する盛岡冷凍工場で工場長を務める小林幸男さんは、震災直後の混乱した状況について話してくれた。
小林工場長は沿岸部の加工業者からの保管依頼を受け入れられるだけ受け入れた
震災の大津波により、沿岸部の冷蔵施設に保存されていた海産物の多くが流出。停電による腐敗なども重なり、多額の損害を招いた。流出や腐敗した海産物の中には、ワカメなどの海藻類やサケ・サンマ・イカなどの魚類のほか、イクラやアワビなどの高価な魚介類も含まれていた。今回の震災による被害を受け、加工業者の多くが内陸部にある冷蔵冷凍施設の重要性を身にしみたはずだと、小林工場長は感じている。
実際、沿岸部の漁協や加工業者からは、今後は内陸で海産物を保管したいという要望の声が強く上がるようになった。こうした声を受けて、岩手県漁連は盛岡冷凍工場のある敷地に、新たに「盛岡新冷蔵冷凍施設」を建設することにした。1981年に建てられた盛岡冷凍工場は、保管庫の容量が3200トンなのに対し、「盛岡新冷蔵冷凍施設」は最大6000トン(1500トン×4室)もの海産物を保管できる。沿岸部の加工業者にとって、「頼れる施設」になることは間違いないだろう。