活動について
各地域での活動
活動レポート
- 地元への深い愛情が人々を「絆」で結ぶ
- 郷土料理の商品化で食文化をつなぎ地元に誇りを取り戻す
- 人々の想いが新たなブランドを創り出す
- 被災した工場が被災地を応援するという取り組み
- 鯉ブランド復興にオール郡山で取り組む
- 宮城県の食材のファンを作る試み
津波から海産物を守る大型保管庫 (2/2)
沿岸部の漁業復興の一助となるために
2011年11月に建設の始まった「盛岡新冷蔵冷凍施設」が完成したのは今年の4月。予定していた3月よりは半月ほど遅れてしまったが、当初の目的通り春の完成に間に合わせることができた。
「今年のワカメの収穫に合わせて、どうしても春に完成させたかったのです。沿岸部では魚介類用に比べてワカメ用の冷蔵冷凍施設が少ないうえ、そのほとんどが津波で流されてしまいました。何とか間に合って本当によかったです」
収穫されたワカメは、ゆでた後に塩もみする塩蔵加工を行うことで、品質が保たれる。そして加工した塩蔵ワカメをさらに冷蔵保存することで、数年は保存が可能になるという。
「盛岡新冷蔵冷凍施設」には保管庫が4つあり、その内1つがワカメ専用の保管庫になっている。ワカメ専用の保管庫では、冷風を流し続けることで室内の温度をマイナス15度から20度の間に保っている。塩蔵加工されたワカメは、マイナス20度までなら凍ってしまうことなく保存ができるからだ。
今年からワカメの収穫を再開した漁業者にとっても、そのワカメを保存するための施設を失った加工業者にとっても、「盛岡新冷蔵冷凍施設」はワカメ産業の復興を目指すうえで欠かせない存在になるだろう。
残りの3つの保管庫には、サケ・イワシ・サンマ・サバなどの魚類が保管される。魚は冷風にさらされると乾燥してしまうため、天井に張りめぐらされたコイルをフロンで冷やしながら、室内の温度を最大マイナス30度にまで下げている。こうすることで、魚も数年は保存が可能になる。保存された魚は適宜、サケ切り身・フレーク・缶詰めなどの加工原料として全国に出荷されていく。
天井にはりめぐらされたコイルが、保管庫内の室温を下げる役目を担っている
2012年4月に完成した「盛岡新冷蔵冷凍施設」には、オープン前から海産物を預けたいという加工業者が相次いだ。施設そのものは岩手県が7月10日に行う建物の完了検査を経て、本格的に沿岸部の漁業復興を担い始める。
取材協力/有限会社パワーボール、写真撮影/和田剛