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リアスフードグランプリ最終審査会レポート

リアスフードグランプリ最終審査会レポート 高校生による東北のための料理開発 (3/3)


商品化できる料理の開発を目指して

 「気仙沼水産食品事業協同組合」による新たな取り組みへの発表が終了すると、いよいよ最終審査の結果発表の時間となった。最終審査ではグランプリが1品、準グランプリが2品、また、優秀賞、アイデア賞、特別賞なども設けられている。
 はじめに、優秀賞、アイデア賞、特別賞の各賞が発表され、3人のシェフにより評価コメントとともに、受賞を記念する賞状が贈られた。

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賞状を読み上げる熊谷シェフ

 続いて、準グランプリが発表された。準グランプリに選ばれたのは、イカの塩辛と里芋を使った「イカ里コロッケ」とカジキマグロを使った「カジキギョーザ」。どちらも都内の高校生たちが考案した料理だ。

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準グランプリを受賞した「イカ里コロッケ」(上)と「カジキギョーザ」

 最終審査を行った伊藤シェフは「いかさとコロッケ」について、「味の仕上げ方がとても上手。コロッケを塩風味にしたのも良かった」と評価。奥田シェフは「カジキギョーザ」がグランプリになる可能性もあったことに言及しつつ、「少し焦がしてしまったのがもったいなかった。豚肉も入れると魚と合わさってさらによくなるでしょう」とアドバイスを送った。
 そして栄えあるグランプリに輝いたのは、気仙沼の高校生たちが開発した「サメ肉団子」。料理名が読み上げられると、気仙沼の高校生たちを中心に会場からは大きな歓声がわき上がった。

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グランプリを受賞した「サメ肉団子」

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賞状を手に笑顔を見せる気仙沼の高校生たち

 「この料理は最高得点の78点を取りました。サメ肉は気仙沼では身近な食材ですが、シェフでもあまり使いません。そんな難しい食材を使って、料理に仕上げたのはすごいと思います。ただし、点数は1次審査の時の最高得点ほど高くはありません。それだけ、最終の審査は厳しく行われたということです。料理のコンテストはオリンピックと一緒で、本番は1回きり。これからも、いいものを作るために、しっかりと準備をしてください」
 グランプリを受賞した料理を祝福した熊谷シェフは、さらなるステップアップのために、高校生たちを叱咤激励することも忘れなかった。
 熊谷シェフによれば、料理の点数はどれも僅差だったという。それは高校生たちがみな同じように額に汗をかき、試行錯誤を繰り返し、努力を重ねたことを意味しているに違いない。第2回のグランプリに向けて、今後は料理の見せ方にも工夫を凝らしつつ、地元の食材を使っておいしく、すぐに商品化できる料理を開発してほしいと、熊谷シェフは期待を寄せていた。
 グランプリの発表後、参加した高校生たちに感想を聞いてみた。
 「カジキギョーザ」で見事、準グランプリを獲得した、都内の高校に通う黒田麻友さんは、料理と海鮮食材が好きだったことが、参加のきっかけだった。
 「東北を支援している高校生の団体のフェースブックを見ていたら、リアスフードグランプリのイベントがあると知り、ぜひ参加したいと思いました。東京に避難している東北の子どもたちもいて、話を聞いてみたいなと思っていたのですが、どこまで聞いていいのか不安もありました。今回のイベントを通じて、気仙沼の高校生たちと話せる機会を持てたことはとてもよかったです。また東北にも来たいと思います」

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また東北に来たいと話す黒田さん

 また、気仙沼の高校に通う佐々木尚哉さんは、カツオの竜田揚げに添えるジュレを開発。惜しくも賞は逃したが、また参加したいと考えている。
 「最初はジュレを作ってもベタベタしてしまい、不安になりました。でも、シェフや他の高校生たちからアドバイスを受けて頑張った結果、ジュレらしい食感を出すことに成功しました。東京の高校生たちとは、昼食時や散歩に出た時などに、色んな話をして交流できたと思います。またグランプリがあれば、今度は違う料理を開発して、リベンジしたいですね」

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リベンジへの意気込みを見せてくれた佐々木さん(左)と
最終審査会に出品した「ジュレを添えた鰹の竜田揚げ」

 他にも、高校生たちからは「これからも新しい食文化を発信したい」「気仙沼の高校生たちと仲良くなれてよかった」「貴重な経験ができて勉強になった」など、様々な感想が寄せられていた。
 そして最終審査会の最後には、「気仙沼水産食品事業協同組合」で副理事長を務める、守屋守昭さんから閉会の挨拶が行われた。
 「1次審査の時から皆さんの頑張る姿を見てきました。お互いに友情も深まったようで本当によかったです。中には心配になる料理もありましたが、最終審査会では見事に成長した姿を披露してくれて嬉しかったです。グランプリを受賞したサメ肉団子のような商品を、私たちが開発できなかったのは、素直さと謙虚さが足りなかったからかもしれません。高校生の皆さんには多くのことを気付かされました。そうした気付きを糧にして、私たち大人も頑張っていきたいと思います」

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高校生たちに多くのことを気付かされたと語る守屋・副理事長

 5月に始まったリアスフードグランプリに参加した高校生の中には、受験を控えた3年生も少なくなかった。受験勉強や学校生活で忙しい中、知恵を絞り、アドバイスに耳を傾け、試行錯誤を繰り返しながら、大人でも思いつかないような数々の料理を生み出した参加者の皆さんの頑張りに、心から拍手を贈りたい。
 そして彼らの発想や行動力に刺激を受けた、「気仙沼水産食品事業協同組合」のメンバーたちも、新たな商品の開発により一層、邁進してくれることだろう。これからリアスフードを使ってどんな料理が生まれ、商品化されるのか、期待を込めて見守っていきたい。

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こらからも新しい料理の開発に向けて頑張ります!

取材協力/有限会社パワーボール、写真撮影/和田剛

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