活動について
各地域での活動
活動レポート
- 地元への深い愛情が人々を「絆」で結ぶ
- 郷土料理の商品化で食文化をつなぎ地元に誇りを取り戻す
- 人々の想いが新たなブランドを創り出す
- 被災した工場が被災地を応援するという取り組み
- 鯉ブランド復興にオール郡山で取り組む
- 宮城県の食材のファンを作る試み
気仙沼贈呈式レポート 水産資源の研究から未知の商品を生み出す (2/3)
地域が抱える課題を解決するプロジェクト
贈呈式に先立ち、「気仙沼水産資源活用研究会」による事業方針の発表が行われた。会場となった気仙沼市役所には、研究会のメンバーのほか、気仙沼市長、気仙沼市議会副議長をはじめ、多数の来賓が参席。東日本放送、日経新聞、朝日新聞、河北新報など、メディア各社も取材に詰め掛けた。
会場にはメディア各社も取材に訪れた
事業方針発表ではまず、菅原茂・気仙沼市長から挨拶が行われた。
「このたびのキリングループと日本財団によるご支援に、心より感謝申し上げます。気仙沼では水産業が被災して生産ができない間に、多くの商圏が失われました。なぜなら、ほとんどの商品が他の地域のもので代替可能だったからです。また、水揚げした水産物をそのまま取引する一次品だと、価格決定権を取引先に奪われてしまいます。震災から復興する過程で、気仙沼の水産業がまた同じ道を歩んでよいのか。そんな思いのもと、誕生したのが気仙沼水産資源活用研究会です。また、気仙沼市は人口減少とも戦わなければなりません。若者の多くは18歳になると進学や就職で都会に出ますが、なかなか帰って来ません。若者たちが都会で身に付けた知識や技能を発揮できる職場を用意するためにも、独自の付加価値を付けられる企業を生む必要があります。研究会による取り組みは、気仙沼が抱える様々な地域課題を解決するきっかけとなるでしょう」
菅原市長は今回のプロジェクトが、地域課題の解決につながると考えている
続いて、気仙沼市議会の村上進副議長から、研究会に対するお祝いの言葉が贈られた。
「本日の贈呈式、誠におめでとうございます。研究会の皆さんは2013年11月の設立以来、産業再生と雇用創出を成し遂げるべく、水産資源の多角的活用を模索しながら、勉強会やワークショップを開催しています。本当に素晴らしいことだと思います。気仙沼市議会としても、キリン絆プロジェクトのテーマである「絆を育む」の言葉通り、震災からの復興に貢献し、気仙沼の未来となれるよう、研究会の皆様と一緒に頑張っていきたいと思います」
研究会と一緒に気仙沼の復興に取り組むことへ意気込みを見せる村上副議長
その後、「気仙沼水産資源活用研究会」の猪狩会長から、事業方針の説明が行われた。
今回のプロジェクトでは、高付加価値商品を生み出すべく、地域が一丸となり、産官学が連携して取り組んでいる。なぜ高付加価値商品なのか。それは市場動向に左右されず、価格決定権も持つことができる強い商品になるからだ。そして高付加価値商品が誕生することで、高収益を上げる事業者が誕生し、最終的には新たな産業や雇用の創出につながるという考えだ。
気仙沼市では2010年時点で7万人以上いた人口が、2040年には42パーセントも減少し、約4万人になると試算されている。この急激な人口減少を食い止めるためにも、新たな産業と雇用の創出が欠かせないのだ。
事業方針の説明を行う猪狩会長
プロジェクトの実施においては、全国シェア1位であるサメ類、メカジキ(生)、カツオ(生)をはじめ、気仙沼に水揚げされる豊富な水産物を活用していく。また、商品化を研究するにあたり、魚の内臓や貝の殻、イサダなどの未利用資源を使うことも想定している。現在、研究会の5つの研究テーマである「サメ」「貝類」「海藻」「イサダ」「海水(塩)」のワーキンググループが商品開発を推進。今はまだ試作段階だが、研究を続けることで、その先に必ず商品化の道が開けると信じているという。