活動について
各地域での活動
活動レポート
- 地元への深い愛情が人々を「絆」で結ぶ
- 郷土料理の商品化で食文化をつなぎ地元に誇りを取り戻す
- 人々の想いが新たなブランドを創り出す
- 被災した工場が被災地を応援するという取り組み
- 鯉ブランド復興にオール郡山で取り組む
- 宮城県の食材のファンを作る試み
気仙沼鹿折加工協同組合 新事務所棟落成式レポート (2/3)
復興のモデルケースとなる取り組み
落成式ではまず、地元の宮司を招いて神事が執り行われた。
神事では厳かな雰囲気の中、新事務所棟の安全な運営と関係各社の発展を願い、お祓いや祝詞奏上などが行われた。また、鹿折加工組合の代表者や来賓による玉串奉奠(ほうてん)や参席者全員による神酒戴杯(たいはい)も実施された。
神事は厳かな雰囲気の中、執り行われた
神事が終了すると、鹿折加工組合の川村賢壽・理事長から施主挨拶が行われた。
「本日は落成式にご列席賜り、誠に有難うございます。新事務所棟が無事に完成したのも、多くの皆さんのご理解とご協力があったお陰です。組合設立当初から、震災前に単に戻っても将来は開けないと、共同事業として組合員のコストダウンだけではなく、商品やブランドの価値を向上させるべく、組合各社が知恵を出し合い、頑張ってきました。その間、資材の高騰や消費税の増税など困難も多くありましたが、一致団結して乗り越えてきたのです。震災から4年が過ぎ、組合では次々に新たな活動が生まれています。この新事務所棟も商品開発や商談の拠点として、私たちの活動をさらに力強く後押ししてくれることでしょう」
組合設立から現在までの苦労と困難を振り返る川村理事長
また、来賓を代表して村井嘉浩・宮城県知事からも挨拶が行われた。
「新事務所棟の落成、誠におめでとうございます。また、新事務所棟の完成のために、惜しみないご支援をくださった協力者の皆様に、宮城県を代表して感謝申し上げます。共同利用施設が完成したことで、仕事の効率も上がり、競争力も増すはずです。組合メンバーの皆様の益々のご活躍を期待しています。気仙沼内外の多くの人々が協力することで実現した今回の新事務所棟は、復興のモデルケースになることでしょう。宮城県としても、国と連携しながら、できる限りの支援を続けていきたいと思います」
組合メンバーの活躍に期待を寄せる村井知事
村井知事の挨拶が終了すると、新事務所棟落成セレモニーのテープカットが行われた。テープカットには、川村理事長や村井知事のほか、気仙沼市の菅原茂・市長など、多くの関係者や来賓が参加。晴れ晴れしい雰囲気の中で、新事務所棟は無事に落成した。
晴れ晴れしい雰囲気の中で行われたテープカット
テープカットの後には記念撮影も行われた
その後、「復興応援 キリン絆プロジェクト」の支援により作られた、プレゼンテーションルームへ移動。組合各社が生産する商品のディスプレイを見学したり、実際に料理を味わったりした。また、鹿折加工組合の統一ブランド商品も登場。「海とごちそう」という名の統一ブランド商品は、現在、試作や試験販売を続けているが、近い将来、本格的な販売を行えるよう、組合メンバーが努力を続けている。
プレゼンテーションルームで提供された料理の数々
プレゼンテーションルームの壁には、「復興応援 キリン絆プロジェクト」と
協力団体である日本財団のロゴマークが掲げられている
鹿折加工組合の統一ブランド商品「海とごちそう」
※キリン絆プロジェクトによって開発された商品
鹿折加工組合の統一ブランドを作るにあたっては、アートディレクターのヌノメミキトさんが大きく関わっている。ヌノメさんは震災後、気仙沼にいる知り合いを支援する中で、商社の紹介で組合メンバーと出会い、彼らの魅力に惹かれ、復興支援の一環として無償で「気仙沼鹿折」のロゴマークを作ることに協力。その縁がきっかけとなり、現在は鹿折加工組合の顧問を務めている。統一ブランド商品「海とごちそう」では、商品パッケージのデザインも担当した。
「震災前、ブランディングとはかけ離れたところで仕事をしていた組合メンバーの皆さんと新しいブランドを作るために、戦略プランニングやマーケティングの専門家を招いて、勉強会をすることから始めました。そして組合メンバーが勉強会や話し合いを続けた結果、消費者のニーズに合った商品ができるようになりました。そこで組合統一のブランドとして売り出すことにしたのです。「海とごちそう」というブランド名は、鹿折加工組合の商品だけでなく、組合メンバーの人となりや鹿折地区の魅力を取材して伝える、冊子型パンフレットのタイトルから取りました。今はまだ試作段階ですが、ぜひ多くの皆さんに鹿折地区の海から生まれるごちそうを届けたいですね」
組合統一のブランドが誕生するまでの経緯を語るヌノメさん
ブランド名のもととなった冊子「海とごちそう」
新事務所棟の落成式には、来賓や関係者をはじめ120名以上が参加。NHKや東日本放送、日経新聞や読売新聞など、メディア各社も数多く取材に訪れ、関心の高さをうかがわせた。