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宮城県内初の海の駅で交流人口と雇用の拡大を目指す

七ヶ浜うみの駅「七のや」落成式レポート (3/3)


リスクを恐れず新しいことにチャレンジする

 登壇者による挨拶が終了すると、代表者らによるテープカットが行われ、落成式は滞りなく終了した。

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テープカットに臨む代表者たち(左)。落成式の会場には関係者や七ヶ浜町民も多数参席した

 引き続いて、海の駅「七のや」の内覧会と、町民限定の焼き牡蠣・あら汁・キリン一番搾りの振る舞いが行われた。

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牡蠣を焼く「七のや」のスタッフ(左)と振る舞われた焼き牡蠣とあら汁

 厳しい寒さの中、振る舞いには大勢の町民が列を作った。近隣住民に事前に届けられた告知チラシは300部。そのうち200人ほどが訪れると想定し、一人分を2個ずつとして、用意された牡蠣の数は400杯だったが、30分ほどで完食となった。

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振る舞いに列を作る七ヶ浜町の皆さん(左)。焼き牡蠣は30分ほどで完食されたため、
列の最後尾には急きょ手書きの看板が立てられた

 4歳と1歳の兄弟を連れて「七のや」を訪れた母親は、妊娠中に大震災に遭遇した話をしてくれた。
 「家も流されて、臨月のおなかを抱え、どうなってしまうのかと本当に不安な日々でしたが、子どもは無事に生まれてきてくれました。4月で5歳になるこの子は、ずっと七ヶ浜で暮らしているから、魚も牡蠣も大好きなんですよ」
 母親のその言葉通り、男の子は嬉しそうに焼き牡蠣をほおばっていた。

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震災の1ヵ月後に生まれた子どもも、もうすぐ5歳になる

 「七のや」のオープンを明日に控えたこの日は内覧のみで、商品を購入することはできなかったが、訪れた人々は興味深く陳列棚を眺め、知人や友人と話し込むなどして、熱心に見学していた。食堂には、海苔を使ったジェラートや「七ヶ浜ブラックカレー」など変わり種のメニューもあり、来場者たちの興味を集めていた。
 内覧をしていた年配の女性は、「近所にはほとんど店がないから、買い物する場所ができて嬉しい」と話した。「七のや」の建設工事の段階から、どんなものができるのか興味深く見守っていたそうだ。

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七ヶ浜は海苔の名産地であるため、海苔を使った商品も数多く並んだ(写真は海苔チップス)

 「株式会社七ヶ浜ハーバースクエア」の安住・代表取締役によれば、物販エリアの商品は季節によって入れ替え、ワークショップも定期的に開催する予定だという。

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「七のや」の誕生を契機に、「海と観光の町」である七ヶ浜町に観光客を呼び戻し、
何度も足を運んでもらえるようにしたいと語る安住・代表取締役

 また、寺澤・町長は、「リスクばかりを考えて何もしないより、やってみる価値があると思ったことには勇気を持って挑戦することが大切。若い人の意見もきちんと聞いて、新しいことをどんどんやっていく町にしたいと思っています」と語り、新しいことにチャレンジする重要性を説いた。

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七ヶ浜町の若い農家たちが作ったお米(左)。
寺澤・町長によれば、七ヶ浜町には固定概念にとらわれない、
新しい感性をどんどん取り入れていく風土があるという

 落成式翌日のオープン初日には、朝4時から行列ができるなど、「七のや」は予想以上の賑わいを見せたとのこと。復興を続ける七ヶ浜町において、地場産品の販路拡大、地域の雇用創出の場として「七のや」が地方創生の成功例となるよう、期待を込めて見守っていきたい。

(注)第1次産業である農林水産業が、農林水産物の生産だけにとどまらず、それを原材料とした加工食品の製造・販売や観光農園のような地域資源を生かしたサービスなど、第2次産業や第3次産業にまで踏み込むこと。

取材協力/有限会社パワーボール、写真撮影/和田剛、取材・文/宮澤泉

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