活動について
各地域での活動
活動レポート
- 地元への深い愛情が人々を「絆」で結ぶ
- 郷土料理の商品化で食文化をつなぎ地元に誇りを取り戻す
- 人々の想いが新たなブランドを創り出す
- 被災した工場が被災地を応援するという取り組み
- 鯉ブランド復興にオール郡山で取り組む
- 宮城県の食材のファンを作る試み
新しい水産業を担うリーダーを育てる (1/3)
東北の水産物と地域をプロデュース
2013年9月17日、岩手県釜石市の沿岸に建つ、岩手大学三陸復興推進機構釜石サテライト(以下、釜石サテライト)で、「三陸フィッシャーマンズ・キャンプ」(以下、キャンプ)が開催された。
一般社団法人「東の食の会」が主催するこのキャンプでは、東北の水産業に携わる人材に対し、合宿形式での座学研修や食関連企業へのインターンシップの機会を提供。新しい水産業を担うリーダーを養成することで、東北地域に雇用の創出やブランド価値の付加をもたらし、最終的には水産業が復興・発展し、地域の人々の所得が向上することを目指している。
キャンプの会場となった釜石サテライトは、地震の被害を受けて2013年5月に新しく建て直された(上) 建物内の受付には「東の食の会」のロゴが掲げられていた(下)
1泊2日の日程で行われるキャンプの初日は座学研修。岩手県と宮城県で活動する水産業の生産者をはじめ、卸や小売業者、加工業者、漁協や自治体の職員など、様々な職種を持つ20名以上が参加した。
参加者には若い世代が目立った
最初に行われたのは、「食と地域プロデュース」をテーマにした講義。講師を担当したのは、「外から見た地域の価値」を再発見し、プロデュースしてきた千葉大貴さんだ。参加者たちは千葉さんから、自分たちの地域や商品について、どうすれば魅力あるコンセプトを作り、ブランディングにつなげられるかなど、マーケティングのエッセンスを学んだ。常日頃、水産業以外に接点を持ちにくい参加者のために、いちごのブランディングに成功して売上が増加した事例など、他産業での販売成功事例も紹介された。
「食と地域プロデュース」をテーマに講義を行った千葉大貴さん
また、講義の中では、マーケティングに関する専門用語が出てくることも少なくなかった。例えば、今までにない新しい市場を生み出すことで、他の会社と競合することなく事業を展開できる「ブルー・オーシャン戦略」や、事業活動における計画・実行・評価・改善の一連の流れを意味する「PDCAサイクル」など。こうした専門用語については、キャンプの主催団体である「東の食の会」で事務局代表を務める高橋大就さんから、参加者たちに丁寧な解説が行われた。
マーケティングの専門用語を解説する「東の食の会」事務局代表の高橋大就さん
講義後の質疑応答では、参加者たちから様々な質問が上がった。
「地域をプロデュースすると言っても、地域全体でまとまるのが難しいと思う。ひとつ成功事例があると、各自がその事例を追いかけてしまうのではないか」
「アパレル業界だと、洋服を有名モデルなどに着させてブランディングしていると思うが、食品業界でも同じことができるのか」
こうした質問に対し、講師の千葉さんからは、「地域をまとめるためには、新たな雇用や産業を生み出しながら、地域を担っていけるキーマンを見つけることが重要」「食品は味で嘘をつけないので、まずは味(=商品)自体を向上させながら、会社の認知度が上がってきたところで、商品自体のブランディングに取り組むべき」など、的確なアドバイスが行われた。
参加者からは積極的に質問が投げかけられた
東日本大震災の地震と津波により、壊滅的なダメージを受けた東北の水産業。その復興のためには、水産業に携わる人々の更なる飛躍が欠かせない。「復興応援 キリン絆プロジェクト」では、新たな水産業のリーダーを育てる「三陸フィッシャーマンズ・キャンプ」の取り組みを応援しようと、「東の食の会」への支援を続けている。