活動について
各地域での活動
活動レポート
- 地元への深い愛情が人々を「絆」で結ぶ
- 郷土料理の商品化で食文化をつなぎ地元に誇りを取り戻す
- 人々の想いが新たなブランドを創り出す
- 被災した工場が被災地を応援するという取り組み
- 鯉ブランド復興にオール郡山で取り組む
- 宮城県の食材のファンを作る試み
宮城県産のカキを全国へ届ける支援 (1/3)
カキを生産しても出荷できない
2012年10月10日、秋晴れの空のもと、宮城県石巻市にある宮城県漁業協同組合(以下、宮城漁協)において、カキの養殖再開を支援する贈呈式が行われた。贈呈式には宮城漁協の職員、県内のカキ生産者、石巻副市長をはじめとした行政関係者など、約100名が参席。NHK仙台放送局やみやぎテレビなど、メディア各社も取材に訪れた。
宮城県ではカキの生産量が年間3,500トンから4,000トン(カキ殻を除いたむき身換算)(注1)、広島県に次ぐ全国2位のシェアを誇っていた(注2)。しかし東日本大震災により多くのカキ養殖施設が破壊され、2011年の生産量は例年の10分の1となる318トンにまで減少(注3)。宮城県からの生産量が確保できないため、流通業者が他県産や海外産のカキへの調達にシフトするという動きが相次いだ。
2012年は前年の3倍近い927トンの生産量を見込んでいる(注4)。震災後に残った漁船を使って海のガレキを撤去しながら、津波に耐えた種ガキを海中から回収して、大事に育てたカキ生産者の努力が実ったのだ。
問題は収穫したカキをどのように出荷するか。
宮城県では通常、生産者が沿岸各地で水揚げしたカキを洗浄したあと、カキ剥き処理場でむき身にし、地域の漁協を通じて宮城漁協が運営する「共販所」と呼ばれる冷蔵保管施設に出荷する。この共販所(冷蔵保管施設)で仲買人による入札(買い付け)が行われ、パック詰めされたあと、量販店や小売店などの流通経路を通じて全国の消費者に届けられる仕組みだ。しかし宮城県に3ヵ所ある共販所のうち、塩釜は大きな被災をまぬがれたものの、石巻と気仙沼の共販所は使用不可能となっていた。
生産者がカキを水揚げしても、出荷ができなければ収入にならない。こうした事態を打開しようと、キリンビール株式会社(以下、キリンビール社)はキリングループで展開している「復興応援 キリン絆プロジェクト」の一環として、宮城県のカキ養殖を支援することにした。
キリンビール社は日本財団の協力のもと、宮城漁協に対し石巻の共販所の復旧事業へ7,850万円を支援。加えて、宮城県内のカキ生産者への支援として、「カキ樽」(生カキ出荷専用ケース)の支援金6,711万円、フォークリフトやカキ殻粉砕機などの支援金6,719万円、合計2億1,280万円を助成した。他にも、キリングループ社員による募金とキリンホールディングス株式会社からの支出を合わせて、1,370万7,664円がカキ養殖事業復旧のために支援された。