活動について
各地域での活動
活動レポート
- 地元への深い愛情が人々を「絆」で結ぶ
- 郷土料理の商品化で食文化をつなぎ地元に誇りを取り戻す
- 人々の想いが新たなブランドを創り出す
- 被災した工場が被災地を応援するという取り組み
- 鯉ブランド復興にオール郡山で取り組む
- 宮城県の食材のファンを作る試み
再び青ノリを出荷することを目指して (2/3)
世代を超えて絆をつなぐ
贈呈式では、冒頭、来賓を代表して佐藤憲男・相馬副市長から挨拶が行われた。佐藤副市長はキリングループと日本財団による復興支援に対して感謝の言葉を述べたあと、震災前から今日に至る、松川浦の激動の日々を振り返った。
「松川浦は風光明媚な観光地であるとともに、漁業の地として栄えた場所でした。震災前、約200名が漁業に従事し、そのうち70名が青ノリの養殖を行っていました。青ノリは佃煮の材料として全国に出荷されたり、松川浦近隣の旅館で出される食事の材料として重宝されるなど、養殖に携わる人々の生計を支えるとても重要な産業でした」
しかし震災により、松川浦は無残な姿に変貌してしまう。
「家族を亡くした人、家を流された人がいました。そして青ノリの養殖に必要な道具や漁場をすべて失った人もいます。震災直後はもう養殖を再開できないのではないかと、失意のどん底にありました。そんな中、キリングループと日本財団による支援は、もう一度、養殖するきっかけを与えてくれたと思います」
続いて、キリン株式会社でCSV推進部長を務める栗原邦夫から主催者挨拶が行われた。
「震災により多大な被害を受けた松川浦の皆様に、心よりお見舞い申し上げます。キリン株式会社も仙台工場が被災しましたが、多くの方々のご支援のおかげで、2011年の11月には商品を出荷できるまでに回復しました」
キリングループではこうしたあたたかい支援へ感謝の気持ちを込めて、「復興応援 キリン絆プロジェクト」を始動した。プロジェクトは、「地域食文化・食産業の復興支援(農業・水産業の支援)」「子どもの笑顔づくり支援(農業高校奨学金など)」「心と体の元気サポート(サッカーを通じた支援など)」の3本柱で活動している。
その中でも農業・水産業の支援では、「生産から食卓までの支援」をテーマに掲げている。水産業支援で言えば、支援を受けた漁業者の生産物が全国の食卓に届き、キリングループの商品と一緒に味わうことで、食卓が笑顔になることが願いだ。
「松川浦の支援では、青ノリが種を落とす種場の整備があります。これは親が子孫をつくることであり、未来をつくることにもつながります。キリングループでは世代を超えて絆をつなぎたいと考えており、松川浦の支援は私たちの考えにまさに合致しています。養殖業者の皆様には、再会に向けて一層まい進して頂きたいと思います」
栗原部長は激励の言葉をかけながら挨拶を締めくくった。
また、「復興応援 キリン絆プロジェクト」の運営をサポートしている日本財団の前田晃・常務理事からも主催者挨拶が行われた。
日本財団はキリングループが拠出した寄付金で基金を創設し、支援金の助成を行うことで被災地の水産業支援をサポートしている
「今回の震災は過去に例を見ないほど、広い地域で甚大な被害がありました。元に戻るのは10年以上かかるかもしれません。だからこそ、地域に根ざした産業を復興させることが大切だと考えます。それは松川浦では言えば、水産業の中でも大きな割合を占める青ノリの養殖です。時間の経過とともに震災の記憶も風化しがちですが、被災地から全国の消費者に商品が届いて、復興を実感してもらうことが、震災を忘れないでもらう方法だと思います。松川浦の皆様のご活躍を期待しています」
その後、キリンビールマーケティング株式会社の椎屋直孝・福島支社長と日本財団の前田常務理事から、相馬双葉漁業協同組合で代表理事組合長を務める南部房幸さんに、水産業支援の目録が贈呈された。