活動について
各地域での活動
活動レポート
- 地元への深い愛情が人々を「絆」で結ぶ
- 郷土料理の商品化で食文化をつなぎ地元に誇りを取り戻す
- 人々の想いが新たなブランドを創り出す
- 被災した工場が被災地を応援するという取り組み
- 鯉ブランド復興にオール郡山で取り組む
- 宮城県の食材のファンを作る試み
[レポート一覧]
すべては青ノリ養殖を復活させるために (2/3)
「出荷しない」という苦渋の決断
2012年9月に種つけをした当初、育った青ノリを出荷するかどうかは未定だった。しかしその後、松川浦支所の職員たちが組合員でもある養殖業者を巻き込んで議論した結果、安心・安全を担保できないという結論に達し、出荷を見送ることにした。その代り、青ノリは収穫せずに種を多く出させることにしたという。
「とても苦しい判断でした。青ノリを出荷しないということは、養殖業者の皆さんの収入がなくなることを意味します。ガレキの撤去作業で日当を得たり、原発事故に対する漁業補償をもらったりしていますが、やはり皆さん、自分たちの本業で汗水たらして稼いだお金のほうが嬉しいみたいです」
太田さんによれば、現在の青ノリ養殖は「試験養殖」で、生産や加工の段階で福島県の水産試験場によるデータ採集が並行して行われている。このデータ採集で放射能の数値に問題がなければ、出荷を見据えた「試験操業」へと進むことができるのだ。
「9月には種付けを始めなければいけないので、その前には結果が出ることを願っています。ただし、放射能の数値が基準を下回っていたとしても、すぐに出荷するのは難しいかもしれません」
たとえ数値が低くなり出荷できたとしても、市場がどこまで受け入れてくれるのか。太田さんは流通の問題もクリアにする必要があると考えている。もし松川浦の青ノリが出荷できるとなった場合、どれほどの量を市場が受け入れてくれるのか、市場調査を行うことも視野に入れている。
青ノリの生産量、放射能の数値、市場の動向。そのどれもが、この先どうなるのか、予断を許さない要素ばかりだ。しかし松川浦の人々は、こうした厳しい状況の中でも、決して下を向くことなく、操業再開に向けて準備を進めている。