活動について
各地域での活動
活動レポート
- 地元への深い愛情が人々を「絆」で結ぶ
- 郷土料理の商品化で食文化をつなぎ地元に誇りを取り戻す
- 人々の想いが新たなブランドを創り出す
- 被災した工場が被災地を応援するという取り組み
- 鯉ブランド復興にオール郡山で取り組む
- 宮城県の食材のファンを作る試み
気仙沼・本吉地区贈呈式レポート 職種の垣根を超えて水産業の復活を目指す (1/3)
気仙沼ブランドを全身で体感できるプロジェクト
2014年3月7日、宮城県気仙沼市にある気仙沼プラザホテルで、「復興応援 キリン絆プロジェクト」による水産業支援の贈呈式が行われた。
世界三大漁場(注1)のひとつである三陸沖を抱える気仙沼市。三陸沖で獲れた魚介類の多くは、気仙沼港に水揚げされる。その結果、カツオの水揚げ量は全国1位(注2)。サンマも例年上位に入り、サメは全国シェアの約9割を占めるなど、豊富な水揚げを誇っていた。
しかし震災がもたらした水産業への甚大な被害により、水揚げ量は減少。気仙沼の漁業者たちの必死の努力が実を結び、水揚げ量は徐々に回復しているが、風評による被災地の海産物の安全面に対する不安から需要は伸び悩んでいる。また、震災前から日本では魚類の摂取量が減少していたことも、震災による影響に拍車をかけた。
こうした状況を打破しようと、気仙沼市および市の南部に位置する本吉地区の漁業者が連携。海産物の生産、加工、販売などを手掛ける11社が集まり、2013年1月、「気仙沼・本吉地区水産物普及協議会」(以下、協議会)を発足させた。
「気仙沼の海産物の流通が少なければ、漁業者は安心して水揚げをすることができません。そこで川上である生産者から川下の販売を担う企業までが協力して、気仙沼の海産物の需要を増やすために、協議会を立ち上げました」
協議会の事務局を担当している、株式会社阿部長商店の小野寺ユミ・経営企画室マネージャーが、協議会発足の背景を説明してくれた。
協議会では、「三陸水産物ブランディングプロジェクト」という名のもと、気仙沼・本吉地区で生産される海産物のブランド化に取り組む。具体的には、フカヒレやカツオ、サンマをはじめとした気仙沼を代表する海産物を「マーメイド」というブランド名で商品化。ふかひれスープやサンマの甘露煮、カツオのあら汁などの加工商品として販売する。販売にあたっては、震災の津波により営業を中止したものの、2014年5月に再開される気仙沼のレストラン、「海の市」での提供も予定している。他にも、インターネットによる販売や、首都圏に設置する営業拠点を通じて、都市部の百貨店やスーパーでの販売も見込んでいる。
また、商品の販売にとどまらず、地元の漁師が講師になって「震災と海」にまつわる食育講義を行ったり、新鮮な魚介類を調理するシェフと対話しながら味わえるなど、「海の市」を拠点に体験型のイベントも開催。家族旅行や団体旅行などで訪れる観光客に、三陸をイメージできる商品やサービスを提供するとともに、気仙沼・本吉地区のブランド力を全身で体感してもらうことを考えている。
「復興応援 キリン絆プロジェクト」を展開するキリングループでは、協議会が計画している「三陸水産物ブランディングプロジェクト」の取り組みに賛同。「海の市」レストランを基点とする魚食文化の継承や、三陸水産物ブランディング活動の推進に5千万を支援することを決定した。