活動について
各地域での活動
活動レポート
- 地元への深い愛情が人々を「絆」で結ぶ
- 郷土料理の商品化で食文化をつなぎ地元に誇りを取り戻す
- 人々の想いが新たなブランドを創り出す
- 被災した工場が被災地を応援するという取り組み
- 鯉ブランド復興にオール郡山で取り組む
- 宮城県の食材のファンを作る試み
「気仙沼水産食品事業協同組合」贈呈式レポート リアスフードを世界の食卓へ (1/3)
気仙沼のファンを増やして地域を盛り上げる
2014年6月6日、宮城県気仙沼市にある「海の市」で、「復興応援 キリン絆プロジェクト」による水産業支援の贈呈式が行われた。
贈呈式の会場となった海鮮市場「海の市」。気仙沼湾に隣接する「海の市」は、震災の影響により休業していたが、4月に一部施設がオープンした
「海の市」のすぐ隣には魚市場があり、見学も可能。震災前はそれぞれの施設が多くの観光客を集めていた
今回の贈呈式は、気仙沼の水産加工会社4社(八葉水産・村田漁業・モリヤ・アグリアスフレッシュ)で構成される「気仙沼水産食品事業協同組合」に対して行われる。4社は気仙沼に拠点を置き、水産加工食品の製造や販売、水産物の冷凍加工、マグロの遠洋漁業などの事業を行いながら、市の主力産業である水産業を盛り上げてきた。
しかし、東日本大震災はそうした状況を一変させてしまう。
震災の被害により、事務所や工場、冷蔵施設などは、そのほとんどが全壊。従業員が命を落とした会社もあった。また、津波の影響により、商品在庫も破棄せざるを得なかった。その量は、もっとも多い会社で3千トンにも達する。震災後、仮設工場などで事業を再開するまでには、1年半の月日を要した。また、事業を再開しても、従業員の数は半減し、震災前の取引先とは取引を再開できないケースもあった。
そこで4社は、自社事業の再建に加え、気仙沼の地域と水産業を復興させるために、商品開発のプロジェクトを立ち上げる。実は4社は、震災以前から協力関係にあった。
「協同組合を立ち上げたのは2007年です。当時は、協同事業として水産加工品の原料となる水産物の買い付けをしたり、中国・インドネシアからの研修生を受け入れるための組合でした。そして震災に立ち向かうために、4社の協力関係を活かして、地域食材を使った商品開発のプロジェクトを立ち上げたのです」
「気仙沼水産食品事業協同組合」の代表理事を務める清水敏也さんは、組合設立からプロジェクト発足に至る経緯を話してくれた。
清水代表理事は八葉水産の代表取締役でもある
商品開発のコンセプトは、「リアスフードを食卓に届ける」こと。気仙沼では、山からの栄養分が川によって海に運ばれ、リアス式海岸の深い入り江に蓄えられ、さらに海の栄養分とあいまって豊かな海を育んでいる。こうした環境でとれる四季折々の「海の幸・山の幸」のリアスフードを、商品として世に送り出すというものだ。
気仙沼では震災後、水産業に従事する人の数が激減した。その背景には、会社が休業している間に新たな仕事を探す必要に迫られたり、入居した仮設住宅から会社までの距離が遠いため通勤するのが困難になってしまった、などの事情がある。市の主力産業である水産業が甚大な被害を受けたことで、地域全体に沈うつとした雰囲気が漂っていたのも事実だ。
「リアスフードという地域食材を使った商品開発やブランディングを通じて、水産業を復興させるだけでなく、気仙沼のファンを増やすことで地域を盛り上げたいのです」
清水代表理事はこのプロジェクトが、地域活性化による街おこしだと考えている。
「復興応援 キリン絆プロジェクト」を展開するキリングループでは、「気仙沼水産食品事業協同組合」が取り組む「リアスフードを食卓に プロジェクト」の趣旨に賛同。日本財団の協力のもと、ブランド育成、6次産業化による販路拡大、担い手・リーダーの育成をテーマとした水産業支援として、5千万円を支援することを決定した。