活動について
各地域での活動
活動レポート
- 地元への深い愛情が人々を「絆」で結ぶ
- 郷土料理の商品化で食文化をつなぎ地元に誇りを取り戻す
- 人々の想いが新たなブランドを創り出す
- 被災した工場が被災地を応援するという取り組み
- 鯉ブランド復興にオール郡山で取り組む
- 宮城県の食材のファンを作る試み
宮城牡蠣の家レポート (2/3)
5種類の牡蠣でファンを増やす
オープニングセレモニーではまず、宮城県の若生正博・副知事から挨拶が行われた。
「キリングループと宮城県の縁は深く、最初にキリン仙台工場が建設されたのは大正12年です。その仙台工場も震災で大きな被害を受けましたが、社員の皆様の並々ならぬ努力によりいち早く復興を果たしました。そして現在に至るまで、宮城県の復興のために多大なご支援をしてくださっています。宮城県の牡蠣生産量は震災前の5割近くにまで回復しましたが、震災の影響により販路の縮小や喪失に直面しています。今後、生産量が震災前の水準に戻ったとしても、販路がなければ厳しい状況は変わりません。『宮城牡蠣の家』は各浜の特徴ある牡蠣を、広く流通させることに貢献してくれるでしょう。宮城県もお墨付きの牡蠣ですので、ぜひ仲間を誘って来て、その味を堪能してください」
「宮城牡蠣の家」が牡蠣流通の拡大に貢献することへ期待を寄せる若生・副知事
続いて、宮城県漁協の経営管理委員会で会長を務める丹野一雄さんから、「宮城牡蠣の家」にかける意気込みが発表された。
「宮城県の牡蠣は震災により、養殖施設が壊滅的な被害を受け、販売先も数多く喪失しました。牡蠣の養殖業者も、約半数が休業や廃業に追い込まれ、産業そのものが大打撃を受ける結果となりました。その後、国や県、そしてキリングループなどから多大な支援を頂いたお陰で、養殖関連の施設は9割が回復しています。そして今回、宮城県の水産業の底上げを図ろうと、殻付き牡蠣のブランド化という新たな取り組みを始めました。宮城県の海域ごとの牡蠣を食べられる牡蠣小屋が都内に出店するのは、初めてのことです。ぜひ首都圏の皆さんに、宮城県の牡蠣の素晴らしさを味わってほしいと思います」
「殻付き牡蠣のブランド化」という新たな取り組みへの意気込みを語る丹野・会長
また、キリンビールマーケティング株式会社の布施孝之・代表取締役社長からも挨拶が行われた。
「キリンビールでは2007年にテレビCMで宮城県の牡蠣を使用したのを機に、県の食材をPRするプロジェクト(M・Kプロジェクト)を発足。宮城県と協力しながら、県産食材の地産地消を推進したり、全国ブランド化を図る取り組みを続けています。また震災後は、2011年7月から『キリン絆プロジェクト』による支援を開始しています。今回は東京のど真ん中である大手町に、『牡蠣小屋』ができたということで、キリングループとしても大変嬉しく感じています。ぜひ多くの方に『牡蠣小屋』に来て頂き、宮城の食材の良さを知って頂ければと思います。『キリン絆プロジェクト』も4年目を迎えましたが、震災を風化させてはいけません。キリングループとしても、被災地の皆さんのお役に立てるよう、今後も地域密着の営業活動を続けていくつもりです」
布施・代表取締役社長は、震災前から続くキリングループと宮城県の協力関係を紹介してくれた
その後、宮城県漁協で経済事業担当理事を務める阿部誠さんより、「宮城牡蠣の家」で提供される牡蠣についての説明が行われた。
「唐桑」の牡蠣では、殻に付く雑草や雑貝を取り除くために牡蠣を熱湯に浸す「温湯(おんとう)処理」を行い、養殖ロープに吊るされたそれぞれの牡蠣の間隔を広げ栄養分を多く吸収できるよう「耳吊り」という作業も実施している。通常、2年で成育するものを3年かけてじっくり育てるので、殻も大きく身もふっくらしている。ブランド名は、「三陸唐桑もまれ牡蠣」としている。
「長面浦」の牡蠣は、「汽水域」と呼ばれる淡水と海水が混じり合う場所で育ち、周囲の森からの栄養分も豊富に吸収できるので、わずか1年で成育する。クリーミーな味わいが特徴だ。
「鳴瀬」は、宮城県内でも有数の種牡蠣の産地として知られている。養殖が行われる海域には、一級河川が流れ込み、殻は小さいが身が詰まっていておいしい牡蠣に仕上がるという。
「宮城牡蠣の家」では、主に、これら3種類の牡蠣に、「万石浦」と「志津川」の2地域の牡蠣を加え、5種類の牡蠣で宮城産牡蠣のファンを増やすことを目指していく。
「宮城牡蠣の家」で提供される牡蠣について説明する阿部・経済事業担当理事
またオープニングセレモニーには、竹下亘・復興大臣も駆けつけ、「宮城牡蠣の家」に対する期待を表明してくれた。
「この『宮城牡蠣の家』は素晴らしい取り組みだと思いますし、今からワクワクしています。宮城県の牡蠣は、生食用としては生産高で日本一を誇ります。クリーミーでおいしい牡蠣が多いのも特徴です。水産業は被災地の経済を大きく支えている産業のひとつ。ぜひ売上を伸ばして、それぞれの地域に活気がでるよう頑張ってほしいです。復興庁としても最大限の支援をしていきたいと思います」
宮城県の牡蠣生産者にエールを送る竹下・復興大臣
そしてすべての挨拶が終了すると、いよいよ試食の時間となった。
オープニングセレモニーには、宮城県の観光PRキャラクター「むすび丸」も登場し、会場を盛り上げた