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「真崎わかめフェスタ」レポート

「真崎わかめフェスタ」レポート 震災で失われたわかめのブランドを再生する (3/3)


日本のわかめ市場で勝ち抜くために

 「真崎わかめフェスタ」の中盤から終盤にかけては、音楽をテーマにしたイベントも実施された。
 東京・葛飾区を拠点に活動する「ズィーレ」は、平均年齢が70歳を超える合唱団。最高齢のメンバーは91歳だ。地域のコーラスグループとして活動していたのが発展して、合唱団となった。指揮者であり、合唱団の代表でもある女性が田老地区出身だった縁で、震災後は毎年、都内で復興支援コンサートを開催。宮古市に義援金を届けている。また、合唱団のメンバーで田老地区を訪問し、仮設住宅の人たちと交流したり、合唱を披露するなどの活動も続けている。
 「真崎わかめフェスタ」では、「花は咲く」や「上を向いて歩こう」をはじめ、全7曲を披露。会場にいる人たちにも歌詞カードを配り、全員で合唱しながらイベントを盛り上げてくれた。

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素晴らしい歌声を披露してくれた、合唱団「ズィーレ」の皆さん

 そして最後に登場したのが、岩手県出身の歌手・松本哲也さん。田老町漁協からの依頼を受けて作詞作曲した「OH YES!~真崎わかめの歌~」を披露してくれた。曲を作る上で心がけたのは、みんなで合唱でき、田老地区の子どもたちが楽しく歌えること。実際、レコーディングされた歌には、田老地区の子どもたちもコーラスで参加している。ステージでは田老町漁協の職員もハーモニカや合唱で参加し、松本さんと一緒に「真崎わかめ」に込めた熱い想いを歌い上げた。

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「真崎わかめ」に込めた想いを熱唱する松本さん

 こうして「真崎わかめフェスタ」は、大盛況のうちに幕を閉じた。終了後、田老町漁協の小林・代表理事組合長に話を伺った。
 「東京のど真ん中で開催した今回のイベントは、『キリン絆プロジェクト』によるご支援があったから実現できました。本当に感謝しています。でも正直、これほど多くの人に来て頂けるとは思いませんでした。商品がすぐに完売したのも嬉しい悲鳴でした。今回の経験を踏まえ、品揃えなどの準備をしっかりした上で、また開催したいですね。『真崎わかめ』は他のわかめに比べ、商品単価が100円ほど高いので敬遠されがちですが、実際は水で戻すと3倍の量になるのでお得なのです。そうした情報もきちんと発信していかなければと思います。また、頂いたアンケートの結果も、今後の商品開発に活かしていきます。わかめは食卓で主役にはなれませんが、和食には欠かせない食材です。今後は若い人たちにもより多く食べてもらえるよう、商品開発や広告宣伝に励みたいと思います」

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小林・代表理事組合長は、「真崎わかめ」の素晴らしさをしっかりと伝えることが大切だと考えている

 また、田老町漁協で参事兼業務部長を務める前田さんも、「真崎わかめ」のブランド再生に向けて、これからが本当の勝負だと考えている。
 「今回のイベントには多くの方が来てくださいましたが、『真崎わかめ』が目新しかったり、単純においしいという理由で食べた人も少なくないと思います。一度、『真崎わかめ』を食べた人が、リピーターになってくれるかが大事。今後は、皆さんの目の前でわかめを湯通しして色が変わるようすを見てもらったり、他のわかめと食べ比べをしてもらうことで、『真崎わかめ』の素晴らしさを実感してもらえる取り組みに力を入れたいですね」

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前田さんは、「真崎わかめ」のブランド再生に向けて、
様々な手法を駆使しながら、リピーターを増やすことが不可欠だと感じている

 全国各地で生産され、安価な外国産も普及している日本のわかめ市場。その厳しい環境を勝ち抜くためには、「真崎わかめ」の特徴である「色良し・味良し・歯ごたえ良し」という素晴らしさを、商品そのものやパッケージ、広告宣伝など、様々な手法を駆使して消費者に届けていかなくてはならない。今回のイベントが、「真崎わかめ」のブランド再生に向けた大きな一歩になることを願わずにはいられない。

取材協力/有限会社パワーボール、写真撮影/和田剛

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