活動について
各地域での活動
活動レポート
- 地元への深い愛情が人々を「絆」で結ぶ
- 郷土料理の商品化で食文化をつなぎ地元に誇りを取り戻す
- 人々の想いが新たなブランドを創り出す
- 被災した工場が被災地を応援するという取り組み
- 鯉ブランド復興にオール郡山で取り組む
- 宮城県の食材のファンを作る試み
ワカメの復活が町の復活につながる (3/3)
全国にファンが待つ塩蔵ワカメを復活させる
唐丹町のワカメは通常、ボイルした後に塩もみした塩蔵状態で出荷される。塩蔵することで、ワカメ本来の食感や風味を失うことなく、長期間保存できるからだ。出荷額も加工しない生ワカメより塩蔵ワカメのほうが高価になる。実は唐丹町は、塩蔵ワカメの発祥地として知られている。現在、ワカメの生産地で行われている塩蔵方法のほとんどは、昭和30年代に唐丹町で苦労の末できあがった方法だと言われている。
しかし今年の収穫では、ワカメを塩蔵できず、生のまま出荷せざるを得なかった。
唐丹漁協や組合員が保有する、沿岸部に設置された塩蔵用の加工施設が、すべて津波で破壊されてしまったからだ。国からの補助金などで再建するメドは立ちつつあるが、加工施設のあった場所が地盤沈下してしまったため、陸のかさ上げを行わないと再建できないという。
赤穂塩で仕上げる唐丹町の塩蔵ワカメは、全国にファンも多く、市場を通じて出荷する以外にも、唐丹漁協のホームページなどを通じて個人に直接販売することも少なくなかった。
「今年の春の収穫の際も、一般の消費者からワカメを購入したいという電話を何度も頂きました。被災地の漁業を支援したいと、埼玉県の生協組合員のお母さんたちが打診をくれたこともあります。残念ながら今年は生ワカメしか出荷できませんでしたので、衛生面の観点から個人の方にお売りすることができませんでした。ご連絡頂いた皆様には、ぜひ来年の春までお待ちくださいと伝えています。来年は何としても加工施設を復旧させ、唐丹の塩蔵ワカメを復活させます」
木村さんは養殖ワカメの完全復活に向けた意気込みを語ってくれた。
唐丹町では今年も8月から新たなワカメの種付けが始まる。来年春の収穫に向けて、キリングループが支援した養殖施設も存分に活躍してくれることだろう。
漁港に浮かぶ数々の漁船が、唐丹町の漁業復活を予感させてくれる
写真提供/唐丹町漁業協同組合 取材協力/有限会社パワーボール、写真撮影/和田剛